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ちゃらお君の疑問(2)にしおりをはさみました!
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ちゃらお君の疑問(2)
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「………勉強しろよ」
(へぇ、この様子だと一応知ってるんだ)
「いやぁ斗真の様子見てると気になるんだよねぇ」
恭弥はなんでもないふうに口にする。
「斗真さ〜ちとせに手出してないでしょ?」
「…なんで?」
「なんとなく?」
僅かに顔を顰めたちとせを恭弥は見逃さなかった。
「気づいてるんだ?ちとせ的にはどうなの?気にしないの?」
「別に俺は、」
「好きじゃないから?」
「…………」
ちとせは黙り込んだ。しかし恭弥はあれ?と思った。
(なんか、不満そう?えーこれ斗真脈ナシってワケでもないんじゃない?意外とちとせ気にしてるみたいだよ〜)
そんなことを考えて、恭弥はなぜか自分の心の中にもやもやとした違和感を感じた。
『言う必要がない』『ちとせは気にしない』と言った斗真。
気にしないのかと問うと何とも言えない顔をしたちとせ。どう見たって気にしている。
双方から話を聞いて、顔を見て、反応を見て、恭弥は2人がすれ違っていることに気がついた。何とも面倒なカップルだと思う。
(あーもう!ちゃんと言わなきゃわかんないって!勝手に相手の考え決めつけてびびってたら前に進めるわけないじゃん!……俺もだけど!!)
恭弥は斗真の自己中心的な考えも、自分に言い聞かせるみたいに何とも思ってないみたいな態度をとるちとせも、斗真とちとせの進む気配のないうじうじした関係にも、全部にムカついた。
そして、謝ってきた静を無視して、話そうと言うのを押しのけて家を飛び出して、学校で会ったら『邪魔』だなんて言って逃げ回ってる自分にもムカついた。
(せいが俺に自分の正体を黙ってたのは事実だからそれはちょっとムカつくけど、そもそも出会った場所が場所だし、待ち伏せしてまで会いたかったのは俺だし、俺だってせいが俺を知らないからって甘えまくってたし、猫被ってたのなんてお互い様だし、それなのに今の俺の態度って最悪じゃん)
恭弥は自分の行動を改めて思い出してちょっとだけ恥ずかしくなる。
「まぁお互いがそれでいいなら俺には関係ないしどうでもいいんだけど」
いつもの飄々とした雰囲気を必死に取り繕って恭弥はちとせに声をかける。
(2人の関係は今はもうどうでもいいや、俺には関係ないし。そんなことより、ちゃんと言わないと…聞かないと…)
恭弥は立ち上がる。内心の焦燥をちとせに悟られるわけにはいかない。それは恭弥がいつも守ってきたプライドだ。
(こんな時でも自分を守るのに必死なんて笑えるなぁ)
余裕ぶって緩慢な動作で立ち上がる。ぶらりと出かけるかのように扉へと歩く。
「ちょっときゅーけー」
今すぐ走っていって『好きだ』って叫んで抱きついて『捨てないで』って泣いて縋りたいと、そんなことを考えてしまう。
あの日からまた開いたままの心の穴を埋めて欲しい。気づいてしまった想いを受け止めて欲しい。
でもその前に、確かめたい事がある。
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