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悪夢の兆しにしおりをはさみました!
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悪夢の兆し
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「あはは、寝癖可愛いね。」
いつもの様に軽々しく触れて来る白い手。
混乱続きで、振り払う事すら忘れてしまう。
「さ...さ、触んなクソ! つか家まで来てんじゃね-よ」
「いやぁ、遅いなと思って 迎えに来ちゃった」
大体教えた覚えもね-んだよ。最寄りだって知らねぇ筈だ。
天使は入学式当初から紛うことなき変人だったが、どの付くマゾでホモで変態だと分かったのはつい昨日の話だ。
それ以前に帰路をストーキングされているとは思うまい。
「なぁ、今日はもうサボっちゃおうよ。僕とデートしよう。」
呆気に取られる俺を他所に、これまた軽々しいテンションで“デート”に誘って来やがったクソ天使。
長い睫毛に縁取られた丸い目がふたつ、こちらを見上げている。オネダリする仔犬みてえに。
逃れんばかり視線を逸らし奴に踵を返せば、足早に駅への道を進む。
「するかボケッ... 着いて来んな俺は学校に行くんだよ」
「偉いじゃん、どうしたの? 今日は優等生の気分?」
「黙れッ」
クソ、調子が狂う。
苛苛し過ぎて頭の血管がぶち破れそうだ。
癖のように上着のポケットに手を突っ込み、煙草を探ったが... 見付からない。
腹立つ事続きだ、確かここに入れてある筈なのに。
「ああ、煙草なら僕が盗ったよ。ついでに耳朶のピアスも。」
「な、......はあ..!?」
思わずひた、と耳に指を触れる。
無い。足りない。いつも必ず同じ位置に付けるピアスが。
こいつに盗られただと...!?
「おい。てめぇ いつどこで...」
「昨日キスした時だよ♡ 偉主郎くんったら無防備過ぎ」
振り向いた先の天使が笑う、悪戯をした子供の様な無邪気な面を見て... プツ。プツ。と頭の血管が幾つか断ち切れる様な錯覚を覚えた。
俺の物をパクった?
生意気なんだよ“餌食”の癖に...
あの長ったらしく執拗いだけのキスの合間...
俺はうっかり腰を抜かして、こいつは俺から物を奪うだけの余裕が有った、その事実すら最高に腹立たしい。
「か。返せ...
今すぐ返さねぇと絶対許さねえ」
ブチ切れた俺は、完全に理性を失っていた。
「そうは言っても、僕の家なんだ。来てもらわなきゃ返せない」
「そ-かよだったら連れてけ早く行くぞ」
「いきなりお家デート? 偉主郎くんてば結構大胆♡」
「巫山戯んのも大概にしろよ」
胸座を掴んだ勢いで弾け飛ぶワイシャツのボタン、これで二着目。こいつは自分のバカな行いで一体どれだけ制服を駄目にするつもりなのか。
人を怒らせる趣味でも有るんだろうか。
こいつの目的は何だ。
読めねえ。分からねえ。
こいつが、俺史上 イレギュラー過ぎる存在だから。
「.........ッ良いから、さっさと案内しやがれ」
「了解♡... ホントに行くの?」
「行くつッてんだろ何度も言わせんな」
「はいはい♡」
そんな、全くもって
理解の及ばない奴が相手だから。
数時間後...
俺が、黒歴史に刻み込むべきクソ悪夢を見る羽目になったのも、全くもってやむを得ない事だった。
✕ ✕ ✕ ✕
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