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三階菱に釘抜 ー三好兄弟(けいてい)ーにしおりをはさみました!
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三階菱に釘抜 ー三好兄弟(けいてい)ー
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うちの紋は、いつ見ても優美だな。
三階菱に釘抜。
五つの菱こそが我らじゃ。
どれが長慶兄上です?
中央だろう。
当たり前だろう。
違うな。
私はせいぜい右上だ。
実休が右下、一存が左上、冬康が左下。
そして中央が、
中央が?
松永久秀じゃ。
笑顔で言う長兄に、弟一同絶句したが、実休兄、一存兄の順で破顔した。
しょうがないなあ、みたいな笑みだった。
しかしながら、だ。
みな忘れておるのではないか?
我らは四兄弟(けいてい)ではない。
五兄弟(けいてい)である。
野口の家に遣った冬長のことは、忘れてしまったのか?
忘れてはおらぬが……
亡き者は、三好の力にはならぬ。
今生きてある久秀こそ、我らの力、我らの矛で盾じゃ。
外には矛。
内を平らぐにあたっては盾じゃ。
そうですな。
あれが右筆になって以来、三好の家は順当に栄えておるし、朝廷や幕府の覚えもめでたい。
感謝こそすれ警戒する必然がどこにある。
兄たちは愚凡なのか??
私は不安以外何も感じぬわ!!
言い切った冬康の、激昂した物言いを、私は苦く聞いたのです。
と私が言うと、松永殿は形良き碗を、くるりと程よい按配で回し、あおり、ただその静かな頬に、深い笑みを浮かべたのみだった。
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