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18歳以上ですか?
もう離れられなくて#27にしおりをはさみました!
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もう離れられなくて#27
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自分が一体何を頼んだのかもわからないまま
ただ完成品が出てくるのを待つこの時間。
なんだか別の意味でドキドキしてたまらない。
それに、さっきから気になっているんだけど
奏楽さんは手を拭いたおしぼりを何やらくるくると細く丸めていく。
「……何してるんですか。」
「ま、見てればわかるよ。お前のも貸しな。」
あれよあれよと言う間に、僕のおしぼりまで
くるくると細い棒状に丸められていく。
先端の三角の部分を少しだけ残すと半分に折って、
その両端をさらに折り返して、
おしぼりが入っていたビニールの袋を真ん中のあたりできゅっと結ぶ。
完成したのはーーー。
「…出来た。」
「ヒヨコですか…?」
「いや、惜しいな。ペンギンさんだ。」
奏楽さんは、まさに“どや顔”と言う言葉がふさわしい
満足げな顔をして、自分のそれと僕のとを隣同士に並べた。
ペンギン…に、見えないこともないけれど
おしぼり自体が黄色いせいで、ひよこにしか見えない。
…って、そうじゃない。
そうじゃなくて、奏楽さん…。
ペンギン“さん”って言った…。
可愛いが過ぎる。
可愛すぎる22歳、僕にはもう無理だ。
耐えられない、しんどい、尊い。
気を抜けば、今にも顔を伏せ、
両方の拳をバンバンとテーブルに打ち付けてしまいそうなので、
何度も深呼吸をして何とか堪える。
並べられた黄色いペンギンさん達は、
仲睦まじそうにお互い寄り掛かって重心を支えている。
別に同じ布だし、変わらないんだけど
心なしか奏楽さんのおしぼりで作ったペンギンさんの方が
イケメンに見えてしまうのは気のせいだろうか。
「ヘイお待ちィ!」
よくドラマなんかで見る決めゼリフとともに、
2つのラーメン丼がテーブルの上に置かれた。
見た感じ、普通のラーメンと大きな変わりは無い。
あ、野菜マシマシだから勿論野菜はこんもりなんだけど。
「これ、俺の中で最高の組み合わせだぞ。」
「……どう言う意味だったんですか?あれ。」
今になって聞くのも失礼かもしれないが、
奏楽さんのオススメならば同じものを頼んでおいて間違いはないだろう。
ーーと言う思考に至った結果、勇気を出して聞いてみる。
今後もこういう機会に恵まれた時のため、
家系ラーメンを勉強しておくのも必要なはずだ。
「お前知らずに注文してたのか。早く言えよ。」
「いや、奏楽さんがすぐ店員さんに注文するとか言うから…!」
「俺が知ってるんだからお前も知ってると思うだろ。」
まぁ、なんて自分勝手な考えでしょう。
そんなマイペースなところも奏楽さんらしくて
まったく嫌な気持ちはしないんだけどね。
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