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36にしおりをはさみました!
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36
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部屋の時計は9時を過ぎていた。
鍋の火を止めた三条は寝室を覗きに行く。
部屋の主の形に膨らんだベッドに近付くとそっと肩を揺らした。
「正宗さん、おはようございます。
朝ですよ。」
「…はよ。」
綺麗な目がぼんやりと恋人を写すと寝起きの気だるげな瞳が優しく細められ、朝の挨拶を返す。
その愛おしそうな顔に三条の纏う空気はより一層やわらかくなった。
何時も笑顔を称えているがこの顔だけは恋人のみが見られる特権だ。
むくりと半身を起こした長岡は眠そうな顔で頭を掻いた。
「あ、すげぇ美味そうなにおい…」
「すみません。
勝手に炊事場借りました。」
「気にすんな。
それに、起きたなら起こせば良かったろ。」
「早く目が覚めただけですし、正宗さん気持ち良さそうに寝てましたから。」
開けっぱなしの扉の向こうからなんとも良いにおいがする。
朝飯を作ってくれたのかと頭を撫でると褒められた犬の様な顔をした。
「何作ってくれたんだ?」
「味噌汁とたまご焼きです。
納豆もありますよ。」
「マジか。
起きる。」
三条によって開けられた窓から気持ちの良い風が通る。
2人の髪を揺らし笑顔を誘う。
「顔洗って来てください。
ご飯よそってますから。」
「なんか新婚みたいだな。」
「新婚…?」
「新婚。」
三条は目をぱちくりさせると解りやすく照れた。
「な、にを言ってるんですか。」
「遥登、おはようのキスは歯磨きしてからか?」
頬から耳へとするりと撫でられ三条はその手に自分のそれを重ねる。
「……おはようございます」
ちゅぅっと頬に触れたやわらかな肉の感触に長岡は満足そうに頷いた。
「はよ。
遥登。」
そして、三条の1番好きな顔を見せる。
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