アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか？
精神愛者、いわくにしおりをはさみました!
- 文字サイズ：
- 行間：
- 背景色：
- しおりがはさまれています
-
精神愛者、いわく
-
俺は精神愛者だ。
厳密には、恋愛において性別に対してこだわりはないが、性干渉を嫌っている、という感じか。
いや、そうなると、細かく分類するとまた別のものになるんだろうけど、それはこの際構わない。
性欲の有無とか、それを嫌悪するかとか、認めるかとか、そういう細分化するのを人間はとかく好みがちだ。
でも、当事者からすれば、そこに御大層な名前が付けられようが正直どうでもいいのだ。
俺は、恋愛感情しか抱かなくて、性干渉を受け入れることができない。
それがただの事実だ。
そんな俺だが、今まで、結構普通に生きてきた。
別に、本人がそれをカミングアウトしなければ分からないことだし、全（性別）恋愛者なので同性も恋愛対象になるということさえ露見しなければまあ、普通に過ごせる。
最近は偏見の目も減ってきたとはいえ、それでも差別的な思想を持つ人も多い。
かなり多い。
口では認めていても、実際そうだという人が現れたら、嫌悪したり排斥したりする人は、本人の自覚以上に多い。
そりゃ、露見、なんて自虐的な言葉も言いたくなる。
ただ、俺は、恋愛において性別とか関係なくね？と思っているだけで、
というか、極論、好きになった相手がたまたま男だったり女だったり、それ以外だったりしたっていうだけだ。
だって、俺には性行為をするという選択肢がないから。
性行為を生殖活動としかみなしていない俺にとって、性別は何ら意味をなさない。
だけど。
相手がそうとは限らない。
どんなに親密になったとしても、どんなに愛し合っていても、俺は他人と肌を重ねるのを嫌悪してしまう。
潔癖とかそういうのではなくて。
むしろ、スキンシップは好きな方だけれど、それと性行為は違う。
裸になって、性感帯を触られたりすることが理解できないのだ。
でも、そんな俺を理解できないと、相手は言う。
愛する相手とセックスをするのは当たり前なんだとか。
愛情を確かめ合う手段の一つなんだとか。
それはそうかもしれないけれど。
それが手段の『一つ』なのだとしたら、他の行動で愛情を確かめ合えばいいと思う。
それが俺の持論だ。
そんな俺の考えを理解してくれた『恋人』は今までにいない。
『いい雰囲気』になって、そこで初めて、俺の主張をして。
最初は冗談みたいにとられて笑われて、それでも本当だと理解すれば離れていく。
人によっては暴言を吐く人もいた。
それ自体には慣れてしまったけれど。
だからもう。
俺にはそういう意味で添い遂げてくれる人はいないんだろうと思っていた。
でも。
そんな俺に、何故か、同居人ができた。
男だ。
これは、その男との話。
といっても。
そいつと俺は根本的な部分ですれ違っていたから、俺とそいつが何かなるような話ではないのだけれど。
それでも。
その生活が一切苦ではなかったのだから。
この世界は、そして人間の感情というものは。
理解しにくいものだと思う。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 7
