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同居人、いわくにしおりをはさみました!
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同居人、いわく
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それだけ言うと、瀧はそのまま眠ってしまった。
「・・・」
俺は一人取り残されて、考える。
俺は真逆だけど、その気持ちは殆ど同じだ。
怖い。
肌を重ねることが。
それだけできっと。
『何かがどうにかなってしまう』だろう?
恋愛は一時的な享楽だ。
強い快楽だ。
それはでも本当に一時的で、刹那的な幻想だ。
一瞬で人をおかしくさせるような強い物理快楽を怖がる俺と。
長く人を縛り付けるような強い精神快楽を怖がるこいつ。
俺たちはただの怖がりだ。
変化を恐れる弱虫だ。
変わりたくないし、変えたくない。
自分の信じる平和を、平穏を守り続けたい。
そのためには、相手との関係を断ち切ることに躊躇(ちゅうちょ)も余念もない。
だけど。
だから。
結局何も繋がらずに。
俺たちは一人ぼっちになり続ける。
俺たちが一番好きなのは、自分なんだろうけど。
でもきっと。
何よりも誰よりも、俺たちは。
愛に飢えている。
それに気付いてしまうのすら恐れているのだから。
・・・俺たちは交わらない。
決して。
身も心も交わらない。
混じりけのない関係。
それが俺と同居人の関係であり、それだけが事実で、それだけが奇跡みたいなもので。
それを俺たちはただ望んでいたのかもしれない。
恋愛なんて恐ろしいことはせずに。
ただ俺たちは。
隣に、共に。
同じく居てくれる存在が、欲しかったんだろう。
変わらずに。
何も変わらずに、ずっと。
それだけは、何だか確信を持てる。
目には見えないけど、分かる。
その日、俺は瀧の隣でいつもは離している布団をくっつけて寝た。
やっぱり瀧相手にはドキドキもしなくて。
当然のように身体も一切反応しなかった。
それがこんなにも嬉しいだなんて。
俺たちも大概、狂ってるよな。
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