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彷徨うもの 5にしおりをはさみました!
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彷徨うもの 5
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腹が空いただろうと、セベクが用意させたのはトウモロコシを茹でて潰し牛の乳で割って煮込んだ【コーンスープ】だった。
薄パンと腸詰め肉が添えられている。
果樹園の果実が綺麗に皮を剥かれて置かれていた。
「食べられるだけでいい……
ほら…… 」
スープを掬いとったスプーンが近づいてくる。
されるがままに口を開けてスプーンの中身を平らげていくさまはまるで雛のようで……
その可愛らしいさまは、いつになくセベクの庇護欲を掻き立てた。
アキラの夫たちは一概にアキラには甘い。
アキラの事になると、他の事など何も考えられなくなるセテフやアポピス、夫となっての日は浅いがアキラの事を崇拝しつくしているヘデデトなど、度が過ぎた溺愛ぶりとシリスの事や鬣犬など最近の不穏さをセベクは危惧していた。
だが今この一刻だけは、抱き込んで、抱き締めて口づけて、この雛は自分だけのものだとセベクは暫し喜悦に浸る。
万事に控えめなセベクは露骨に表しはしないが、実はかなり独占欲が激しい。
だから時々訪れる、こうしたふたりだけの時間を大切にしたいと思っていた。
……繋がるだけが愛の行為ではない……。
「アキラ……愛している。」
果汁滴るデザートを、その鋭い爪でまだ小さく切り刻んで、アキラの口に合わせたそれを指で摘まんで食べさせてやる。
……私的な果樹園で栽培されているマンゴーに似たこの果実は甘く、ねっとりとした食感が特徴だ。
それを口に含み、口の周りを果汁でべとべとにして次を強請って見上げてくるアキラ。
「ちびっこ…… 」
長い舌がぺろりと口の周りを嘗める。
暫くの間、果汁を嘗め取っていた舌の動きが段々と淫靡なものになっていく……
唇が重なり、食まれ、咥内に舌が這入ってきて口腔を蹂躙される。
舌同士が絡まり合い、吸い上げられて上顎を嘗められたとき、アキラの身体は快感に震えた。
「今夜はやめとこうな。」
優し過ぎるセベクの心遣いに思わず涙目になっていると、からかいの混じった含み笑いが聞こえてくる。
「そんなふうに煽ったら……知らないぞ。」
「うん……セベク、好き。」
閨に移ってからも、アキラが寝つくまで背を摩り、髪を梳いていた。
何よりも憂慮していた熱は、今は下がっているようだ。
己の冷たい身体で包み込んで、今宵は尾まで出してゆらゆらと揺らしながら、セベクは愛しい雛が眠りにつくのを優しい面持ちで見守っていた。
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