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第2章 16
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父が祖父の代から受け継いだ花屋だったけれど、最近は経営難の為、あわや潰れるかと思う一歩手前のような状態だったのだ。
そんな最中に、やってきたビックチャンスを喜ばない人間などいないだろう。
普段であれば、町花屋の小さい店などとは縁がない上流階級のお家に花を下ろしたとなれば、それだけで宣伝効果はバツグンだろう。
もちろん、綾人も思わぬ幸運に嬉しさはあるのだが、
まさか、その家が桜庭家となれば、嬉しさよりもまず緊張の方が上回ってしまう。
まさに青天の霹靂ーー。
大事件ーーーなのであった。
◇
小1時間ほど車を走らせただろうか。そこには、まさに『豪邸』と呼ぶに相応しい外観のお屋敷が目の前に聳え立っていた。
うわぁーーーー
なにこれーー、
凄すぎるーー…。
あまりに大きすぎるその家に、綾人が言葉を失って見入って居ると、
「綾人っ!突っ立ってないで、手伝ってくれ!」
父が忙しそうに荷台から荷物を下ろしているのが見えた。
「っ、…はーいっ」
返事をしつつ、綾人も荷物を下ろすのを手伝いながら、何だか胸がドキドキと高鳴っていた。
何だろう…、
車から降りた瞬間から、原因不明の動悸が続いている。
何故だか分からない胸のトキメキに、知らず知らず綾人が頬を紅潮させていると、
「天野様ですね。ようこそいらっしゃいました。この度は、急なご依頼にもかかわらず、お受け頂き誠にありがとうございます。」
いつの間に近くに来ていたのか、ビシッと見事に背筋を伸ばした、白髪の優しそうな老執事が綾人達の到着を出迎えてくれた。
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