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18歳以上ですか?
28にしおりをはさみました!
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「もうたくさんだっ! 失礼します!」
「ソウゲツ……!」
これ以上ここにはいられない。
王子様の必死の呼び掛けにも耳を貸さずに、今度こそソウゲツは街を飛び出した。
視界の端に少年の顔が悲しみに青ざめるのが見えたが、もう構わない──。
・・・・・
「(あの人は一体どこまで残酷なんだ)」
夕べ、瞳をくり抜くことをあれほど不本意だと伝えたはずなのに、またしてもそう来るのかと怒りにも似た感情が込み上げてくる。
「(そもそも、私はあの子にとって何だったんだ?)」
信じたくはないが、偶然言葉が交わせるようになった単なる御用聞きに過ぎないのか。
恐れ多くも恋慕ってくれたようだが、今思えば、それは彼にとって話せる相手が自分しかいなかったからだ。
聞けば長い年月を孤独に過ごしてきたらしいから、もの珍しく、離れがたかったのだろう。彼のために働いてくれるなら、例えどんな動物でも受け入れたに違いない。
「(それなら何も私じゃなくたっていいじゃないか!)」
もっと相応しい他の誰かに頼んでくれよ。
君の身体がどうなってしまおうと心を痛めることのない、他の誰かに......。
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