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信頼。にしおりをはさみました!
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信頼。
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「 以上で、5時間目の授業を終わります。それじゃ 」
数学の教科書やら何やらを手に抱え、先生が教室から退室する。
「 はー、今日の数学難しかったね、キヨくん 」
隣の席の怜斗は、開かれたままの教科書を参考に改めておさらいをしている。
「 怜斗でも難しかったのか?どれ、見してみ 」
数式の羅列を覗いて、ひとつひとつ頭の中で問題を解いていく。
「 キヨくんわかったん? 」
「 ……おし、わかった。俺ここ得意なんだわ、怜斗、まずこれだけど、この解を最初に__ 」
その時。
「 ね、香坂怜斗くん…だよね??ちょっといいかなぁ 」
甘えた嬌声の、同じクラスの女子。
確か名前は__石橋さんとかいったかな。
「 …そうやけど、何? 」
「 えっとねっ、今日の数学っ、わかんなくて…教えてくれない? 」
首をふわりと傾げるそのしぐさは、わざとなのであろうか。
「 断らせてもらうな。あいにく俺も数学分かんなくてキヨくんに教えてもらってるん 」
石橋さんの表情筋が、引き攣る。
「 へ、へぇ~~、そうなんだ……へぇ~… 」
「 おん。キヨくんも2人同時に教えるとか無理やもんな? 」
えぇー、俺の方に振るなよ。
「 ま、まぁ… 」
「 わ、わかった!!じゃあ怜斗くんちょっと私についてきて!!早く! 」
椅子に座る怜斗の腕を強く引いて、教室の外まで引っ張っていく。
「 ちょ、痛いって石橋さん、待っ__ 」
「 石橋さん、やめろってマジ 」
力のままに引っ張る石橋さんの手をぐっと抑える。
「 痛い!清川くん何するの、女子に向かって 」
気付けば、周りのクラスメイト全員が俺達に注目していた。
「 それは石橋さんもだよ、怜斗を引っ張った時も、怜斗すげぇ痛そうだった。…手、離してやれ 」
「 ……清川、くん… 」
石橋さんのしがらみが、怜斗を解放する。
「 おいそこー、何やってる。生徒会長が清川と香坂のこと呼んでるぞ 」
教師からそう告げられ、教室のドアに怜斗と視線を揃わせる。
そこには、待ちくたびれたという様子の生徒会長が、腕を組んで直立していた。
「 っ行こ、キヨくん 」
「 あ、あぁ…石橋さん、そんじゃ 」
再びざわめきを取り戻したクラスメイトらを背に、俺らは生徒会長のところへと歩き出した。
「 …何やってたんだ? 」
「 あ、ええんです、気にしないで下さい。それより生徒会長、どうしたんですか? 」
怜斗が口早に要件を言うようアピールする。
「 いやな、人手が足りなくて生徒会に図書館の本の整理を手伝って欲しいって頼まれたんだ。
香坂、清川は1年だから今日は5時限で終わりだろ?頼まれてくれる…か? 」
怜斗がこちらを見ている気がする。
どうやら、決定権は俺にあるようだ。
「 …分かりました。やります 」
「 お、さんきゅー。先生、そういう事なので…もう清川達図書室行かせていいですか? 」
おういいぞー、なんて先生が返事をする。
…信頼されすぎだろ。
渋々とした俺に同調するように、少し苦い顔をした怜斗と俺は、生徒会長に連られるがまま図書室へと向かった__。
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