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20 (過去 和也)にしおりをはさみました!
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20 (過去 和也)
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「そんな生活が一年くらい続いたんだ。
親父と女は、相変わらず喧嘩。
仲直りしては、また喧嘩。
もういい加減嫌気がさして…そんな頃お袋に会った。
お袋は泣いてた。生活も安定したし一緒に暮らそうって。
俺は______それに飛びついた。
嫌だったんだ。何もかも。
親父と女の喧嘩も、そのあとのイチャイチャも、弟の世話も。
渡りに船とばかりに飛び出して、お袋の元に行った。
親父は怒って、裁判沙汰になったけど、結局、親権はお袋のものになった。
…結局、俺は逃げたんだ。
愛情のない暮らしと弟から。」
「……中3の頃…だろ?
逃げたとしても、誰もおまえを責めないよ?」
そう…大樹は言う。
「お袋は、しばらくして再婚したんだ。
それからは、おまえも知ってる通りの暮らし。」
「だな。
でも…何があってその格好…?
会社は辞めたのか?!」
「……10年経って…事件が起こった…。」
「事件?」
大樹なら…
大樹なら、俺を…人殺しの子…とは言うまい…。
ああ…
でも…ひょっとして…
「……事件だ…。」
…言うのが、怖い…。
言えない。
自分が、人殺しの子だなんて。
大樹は、それ以上は追加しなかった…。
「……気になって…ある日、故郷に戻ってみたんだ。
女は、とっくの昔に出て行って、親父と弟の二人暮らしだったそうだ。
親父が捕まって…弟は一人。
教えてもらった養護施設に行ってこっそり見てみたら、隅っこの方で小さくなってた。
イジメられてるらしい。
居た堪れなくなった。
…その日は、会わずに帰った。
帰って…お袋に弟を引き取りたいと言ったけど…ダメだった。
お袋にしたら、旦那を寝取った子供だもんな…。
知った事じゃないっていうのが、本心だろう。
でも…俺は…?
俺は弟を置いて…逃げたんだ。
まだ小学校に上がる前の弟に、全て押し付けて…逃げた…。
弟がどんなに辛い生活を送るのかをわかってたのに…。」
「…和也だって…子供だろう?
逃げたとしても無理ないよ?
……悪いのは、女と親父さんだ!」
大樹は…優しいから、そう言ってくれるけど、俺は知ってる。
……凛がどれだけ俺に頼ってたか…。
裏切ったのは…俺。
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