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渡辺くんの萌芽。*にしおりをはさみました!
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渡辺くんの萌芽。*
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***
何だかよく解らなかった。
艮くんが純血と一緒にいて仲間に誘われて、だけど艮くんはそれを断った。艮くんは誰かとツルむのを嫌うから当たり前のことだったとも思う。そうして断った艮くんは僕の手を握ったまま学校まで来て、屋上に上がるなり胡座を組んで黙っている。
「…怒ってる?」
「…」
都合よく解釈するなら血に誘われたのか、艮くんを見つけたのは偶々。対峙してる男から甘い匂いがしたときには、とうとう見つかってしまったんだなと思った。少ない種を残すため鬼たちが集まってるというのは噂で聞いていた。オークションなんて妙なモノが流行ってるから尚の事だろう。
それでも艮くんがその手を払うのは予想がついていたのに。つかなかったのは、払った手で自分の手を握ってくれた事。
だから何だかこの状況がよく解らない。
「…浮気者」
「え?」
「他のヤツにも手ェ出しやがって」
艮くんがそっぽを向いたままそう言う。
「…俺を退治するって言ったろ」
「いや、でも…嫌がってたから」
「はあ?」
「あのとき公園で嫌がった」
「それは…、」
「?」
「それは…なんつーか…、」
艮くんが困ってる。頭の中で言葉を探してるのか口がモゴモゴと開いたり閉まったりと忙しなく動いている。
あの男の言ったことは正しい。嫌がる者を押さえつけるのは別に正しい事じゃない。満たすためにやむ得ないのはただ捕食する側の都合なだけで。だったら、食すのはあの男でも構わないと思った。そうすれば艮くんを選ぶのは本能でもなんでもなくて、
「…あの男にも惹かれたのか?」
「え?」
「てめえの血が騒いだから…あの男にも触れたのかよ」
そっぽを向かれてるから艮くんの顔が見えなかった。解るのは絡まってる指先が熱いってことだけ。
「…違うよ。欲しいって気持ちが衝動からじゃないって証明出来たら何か解る気がしたから」
艮くんがこっちを見た。
「俺を探し当てたのは本能だろ」
「うん」
「俺を食べてえのも本能だろ」
「うん」
「噛み付いたり舐めたりすんのも、…っ、」
空いた手でタイを引き寄せキスをした。
「本能だよ…でも艮くんにしか反応しない」
下唇を噛んで閉じる唇を舌先で突けば躊躇うように開いて、オズオズと差し出された舌を絡め取る。どっちのともつかない唾液でぐちゃぐちゃになっても手は握ったまま、眉尻を下げた艮くんは目もつぶらずにこっちを見てて、触れる舌先が気持ちよくて、
「…ずりィ…っ、」
「…え?」
「てめえが…ンなこと言うから…、本能でしか選んでねえクセに俺だけとか言うから…!」
俺もお前を選んじまった、
泣きそうな顔でそう言われて
ゾクゾクした。
「…艮くん」
「耳元でしゃべンな…、」
「君が欲しい、誰にも渡したくない」
「て…てめえ、ナニ硬くし…て、」
「…ごめん。すぐ治まるから…、」
深呼吸をする。甘ったるい匂いが身体中に充満する。頭が痺れる。ヤバイ。治まりのつけかたが解らなくなってくる。
「…嘘つけ…全然治まンねェじゃねえか」
「…ごめん…、」
「…、」
艮くんが抱きついてた僕の身体を引き剥がしベルトに手をかけた。
「う、艮くん…!?」
「…キツイんだろ、抜いてやる」
ベルトを外してジッパーを下げ露わになった下着に艮くんが触れる。触れられて硬度を増したソレに艮くんの肩がビクリとした。
「…ぁ…、」
「…無理しなくていいよ?」
「してねえよ…!」
真っ赤な顔でそう言われても説得力がない。何でこんなに可愛いんだろう。何でこんなに欲しくなるんだろう。何で艮くんだけなんだろう。
「じゃあ…艮くんも脱いで?」
「はあ!?」
「一緒にキモチよくなろ…?」
「ばっ…馬鹿、どこ触って…!」
「…ちゃんと反応してる」
「!!」
手早くズボンをずり下げてトランクスも下ろす。直に触ると声にならない悲鳴を艮くんがあげて身体を震わした。尖端から蜜がこぼれてる。這わす指が濡らされてゆく。
「ぁ…、俺が、やるつった、のに…っ、」
「うん…、して?」
「だったら…手ェ、どけ、…、あっ、」
「そんな可愛い顔されたら…無理だよ…、」
溢れたものでぐちゃぐちゃになった艮くんの内腿に自分のを擦り付ける。ろくに触られてもないのにはち切れんばかりの硬さを保ってる自分に笑けた。
ぐちゅん、と、どちらのか解らないカウパーで二人のものが擦れる。
「ん…ン…ッ、」
「股…締めて…っ、」
太ももを掴み挟んだ自身を打ち付けた。お互いのが硬さを増して竿が擦れ合う。自身のと擦れるたび蜜を飛ばしながら浅く喘ぐ艮くんが愛しい。擬似セックスなのに本当に艮くんを抱いてるみたいで。
朱のさした目尻も、乱れるのを拒むその口も、素直に反応する身体も、全部全部、
食べてしまいたい。
「…わたな、べ、…俺っ、もぅ…ッ、」
「イッて…、一緒にイこ?」
「あ…っ、!」
ドクリと脈打って密着する二人の腹と艮くんの内腿が白く濡れた。
「…明日からここに来る?」
「…ああ」
「…玉子焼き食べたい?」
「…ああ」
「…首筋噛んでもいい?」
「…調子のんな」
「…艮くん」
「…あ?」
「ありがとう」
ありがとう。
あのとき僕の手を掴んでくれて。
訳が解らずキョトンとしてる艮くんに軽く微笑み、キスをひとつ、落とした。
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