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渡辺くんの考察。にしおりをはさみました!
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渡辺くんの考察。
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***
いまの艮くんを白か黒かと問われれば限りなく黒だ。
「明日、先に帰る」
「何かあるの?」
「玄に会う」
「そう。気をつけてね」
いつも通り微笑めば艮くんはホッとしたように息をついた。けれど意識は何処か上の空で心ここに在らずの状態。まあ当然なのかもしれない。
突然、鬼に会ったのなら。
残念だけどその事は艮くんから直接聞いた訳じゃない。ただ昨日の発表会を途中で抜けたまま帰って来ず、戻ったのは第二部終了後。全てのプログラムが終わった後の事だった。何かあったのは艮くんの様子を見れば明白で、鬼との接触を確信したのは艮くんから鬼の匂いがしなかったから。正確には無理やり消したかの様に匂いにバラつきがあった。今までそんな事など無かったのに。それは何かに、誰かに、接触したとゆう証。
(…厄介だね)
いつかこの日が来ると理解してはいたけれど、まさか自分と居る時を狙うとは思わなかった。知らなかった筈はない。見つからない為に匂いをわざわざ消してきたのだ。そして僕が気づくことも解っていた。そこまでリスクを冒してきたのは…
(挑発、か)
艮くんを通して自分の存在をアピールしている。気づかれても構わないとゆう、僕に、退治屋に対する「挑発」。
(ホント厄介)
いま艮くんが自由でいれるのは安倍家の介入があったからだけではない。本家がああも簡単に引き下がった理由はただひとつ。艮くんに敵意が無かったから、ただそれだけ。鬼としての自覚も使命感も薄く、退治屋の脅威とは程遠いと判断されたからに過ぎない。つまり裏を返せば「脅威」と判断された瞬間、この自由は終わりを告げる。
艮くんは優しい。
誰かが傷つく事を放ってはおけるほど非道にはなれない。だからこそ今まで本能的に徒党を組む事を嫌い一匹狼を続けていたのだろう。本人にその気は無くとも、もしも仲間意識が芽生えたら…。
なにが「僕が居るから大丈夫」だ。
こんなに簡単に接触させておいて。
「…うおっ!?」
隙だらけの艮くんを押し倒し馬乗りになった。
「…わた、なべ…?」
「隙アリ」
艮くんが制止するのも聞かないで捲れたシャツに手を入れ脇腹を撫でる。程よく筋肉のついた身体は男の僕から見ても綺麗だ。逃げてズホンがずり下がった所為で露わになった腰骨が妙にエロい。スーッと爪の先でなぞっていくと「んっ」と艮くんが息を詰めた。
「声殺すとヤラシイよ?」
「ばっ…、バカ言ってねぇでさっさと退け!」
「やだ」
子供みたいに駄々をこね艮くんの両腕を地面に縫い付ける。こうして艮くんの身体を見るのは初めてだ。キメが細かく陶器のように滑らかな肌は触り心地が良くてずっと触れていたくなる。不埒な考えが頭の中をよぎる程に。
「…痛…っ!」
脇腹に噛み付くと艮くんが小さく声を上げた。脂肪分の少ない身体は女の子のような柔らかさなど微塵もなく筋張っていて固い。それでも久々に味わう艮くんの皮膚は甘くて何度噛み付いても物足りなかった。噛み痕をつけては新しい場所へと移ってまた痕を残す。点々と色づく僕のつけた痕。
「…何なンだ、よ…、」
訳が分からないといった風に艮くんがボヤいた。顔を逸らしているから表情は読めない。噛み痕をキツく吸うと浅い呼吸を繰り返して腰が揺れる。
「…ぃ、…は、……ぁ、」
「唇噛んだら切れちゃう」
「だった…ら、…ヤメろ…、」
「あ。大事な物でも咥えさせるとか?」
「…っ、は…ぁっ、?」
「僕の指でも食む?」
「…っ、ソッコー噛み、ちぎ…るっ!」
「ふふ」
可愛くない言葉を並べたててるけれど本気で抵抗してない事は百も承知だ。流石に今の艮くんに本気で抵抗されたらこんな余裕なんてない。
腰骨から脇腹までゆっくり舐め上げると艮くんが切ない声をあげた。いやらしい部分もズボンの布を軽く押し上げててその即物的な姿がやけに鼓動を早くする。
「…、わた、なべ…っ!」
「…なに?」
「っん、…クチ、ビル…噛み切るッ、」
「指欲しいの?」
「ち、がっ…、」
強情。
上手く飲み込め無かった唾液を零して声を出さぬよう両手を押さえつけてる僕の腕に噛み付く艮くん。ハアハアと唾液塗れの口で息をしながら生理的な涙を目に溜め僕を睨んでいる。超絶エロい獣。
「…ゆ、び…、じゃ、…く、て…っ」
「?なに?」
「…噛み、切る…っ、から…っ、」
要領の得ない会話。強情な彼にはあと一歩が出ない。解ってる。解ってるけれど。気持ちイイ、て正直に言って欲しい。外聞など恥じらう暇もないほど身も心も僕に曝け出して欲しい。そうして、おかしくなりそうなのは僕だけじゃないと言って欲しいんだ。そうじゃなきゃ信じることが出来ない。君が信じる僕を僕が信じることが出来ない。「あ~、クソッ」と艮くんか赤い顔で悪態をついた。
「…、ぃ、」
「え?」
「…キ…、……ス…、して欲し、ぃ…、」
聞こえるか聞こえないかの声で呟かれたあんまりにもストレートな言葉。
「……」
「…?」
「……」
「渡辺?」
「で…、」
「?」
「……出るかと……思った…」
「!!?」
僕が僕で君が君である限り常に白ばかりの関係とはいかないだろう。君がもし僕の敵に回っても僕は手を離さずにいれるだろうか。守りきれるだろうか。先が余りにも未知数で。
(自信がないよ)
「この…変態がッ!」
「痛ァ…!」
それでも君が信じてくれている僕を僕も信じて生きたい。君を守れると信じたい。君に恥じぬように。
もしも君が敵に回っても。
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