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渡辺くんの桎梏。*にしおりをはさみました!
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渡辺くんの桎梏。*
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***
葛城小町をこの手で殺めた時からずっと心の何処かで不幸でいる事を望んでいた。
自分には幸せになる資格がない。彼女の人生を奪いながらも未だのうのうと生きている自分に一体何の資格があるというのだろう。
それがただの自己満で、そう思う事により罪悪感から逃れたいだけなのだと解っている。解っていても求める事が出来なかった。欲しいと、口にする事が出来なかった。
なのに。
君が現れてから僕はずっと最低だ。
「……ん、っ、」
下唇を甘噛んでいた艮くんの上擦った声が聞こえた。境内に押し付けられた二人分の重さで背中が痛い。なのに目の前の身体を押し返せないまま大人しく唇を差し出している。餌を強請る様に薄く開いた隙間から舌を絡めて啄ばむ雛。零しそうになった唾液も余すことなく啜られて思わず頬を掴んで引き離した。つーぅ、と二人の間に銀糸が引く。それを舌で拭い艮くんが笑った。
「…お前ってこっちがその気になったら退くのな」
その笑みは決して馬鹿にしている風でも責めている風でもなく何処と無く慈しむような笑みだったから何も言い返せない。頬に触れてた甲の上から手を重ねられる。
「なあ」
「……?」
「俺さ、お前が欲しい」
「お前が最初に言ったんだろ、俺が欲しい、て。だったら退くなよ。怖がるな。お前が望んだ通りになったって誰もお前を責めたりしない。…つーか、」
艮くんが頬を赤らめて唇を尖らせた。
「……お前は欲しくねえの、綸」
ほら
最低だ
「痛ッ!急に起きあが…っ、!?んんっ、」
自分で離した筈の身体を押し倒し唇に噛み付いた。驚いて逃げようとする腕を板の上に縫い止め更に口付けを深くする。
「んっ、ちょ…待っ、ん…ふっ、待てって…!おい、わたなーー、」
「欲しい」
最初に口にした時から解っていた。たぶんこれが避けられない本能なんだ、て。理屈でなく理性でもなく心の底から突いて出た言葉だから抑えなんて効かないのだと。最初に口にした時から、解っていた。
欲しい
欲しい
君の全部が欲しい
「……君と幸せになりたい」
あの時から辿り着く答えはただそれだけ。
彼の頬に数滴の雫が落ちる。そこに口付けて初めてそれが涙だという事に気づいた。目頭が熱い。
「……やっと泣いたな」
彼が顔をくしゃりとさせ背中に腕を回した。ギュッと力強く抱きしめられてこれ以上ないほどピッタリとくっ付く。二人分の心音が五月蝿い。
「もう退くなよ?今更逃げんのとかナシだかんな」
ちゅ、と子供みたいなフレンチキスを仕掛けて彼がこちらを覗き込んだ。濡れてた目頭を指で拭われる。
「…退かないよ」
どんなに理性で拒否しても本能で拒否出来なかったひと。とっくの昔に判っていたのに。せり出た喉仏にキスを落とす。
「だから先に謝っておくね。ごめん」
「?」
喉仏から鎖骨へと少しずつキスの位置を下ろしシャツのボタンを外す。仕草の意味が解ったのか彼の手が制止に入る。
「わ、渡辺ッ、」
「名前」
「……、」
「今日は名前で呼んで」
茹るほど赤くなった顔を見て今更だなと笑った。最初に仕掛けてきたのはそっちなのにそのお願いは赤面事項らしい。そうゆうところも本当…
愛しい。
「…っ、ふ、…、臍舐めん、な…はっ、ぁ…、」
「じゃあもっと下、」
「ば…っ!馬鹿…ンなとこッ、んあッ、やめ、んんーっ、っっ!!」
下着ごとずらして固くなったソコを咥える。喉を締めて数回扱くと彼がビクビク身体を震わし背を反らせた。瞬間、口を離す。
「…っ、ぁ…なんで…、」
「…覚えて欲しいのは此処じゃないから」
「?…ひっ、…、」
くちゅ、と孔の淵が指を吸う。ダラダラと垂れたカウパーの所為で濡れている。吸い付きに任すよう第二関節まで入れてゆっくりと動かした。
「そ、そこ…っ、苦し…、」
「…うん。キツいね。……かわいい」
誰も知らない場所を抉じ開けられて苦しさに喘ぐその姿が酷いと解っていても堪らない。誰にも暴かれた事はない。誰にもそんな顔を見せた事はない。僕だけが知っている。…嗚呼。
「ね…指三本入ったよ。ちゃんと解れてきてる。吸い付いてるよ」
「っ、ンな事…いちいち…説明すんな…っ、」
「うん。ね………挿れていい?」
自分でも笑えるほど張り詰めたソコを淵に押し当てた。
「……っ…、」
「…挿れいい?」
息を飲む音がする。不安と恐怖と僅かばかりの期待が入り混じった呼吸。なんて意地悪な質問だろう。今更拒まれても止める気なんかないクセに。それでも欲しい。
「…君を食べたい」
君の言葉が。
「……バーカ。食べられるのはお前だっての」
「挿れて、綸」
月並みな言葉だけどこの瞬間を僕は一生忘れないと思う。太陽のような温かさと優しさを兼ね備えたこの光を。僕は決して忘れない。
「…僕と幸せになって、龍美」
そう呟くと僕の光は笑って「仕方ねえな」と答えた。
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