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2にしおりをはさみました!
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日が昇ると同時に城を出て、途中にある貴族の屋敷に一泊し、翌日の日が暮れる頃に日の国との国境に着いた。
炎の国は、日の国と水の国、月の国と隣接している。風の国、山の国は、月の国と水の国の更にその向こう側にあるらしい。
隣接している日の国には、飛翔する馬に乗れば丸一日で着くのだけど、その馬に乗るのは俺とリオ、そして見送りに来たアルファムとシアンだけだ。
行きは護衛の兵達や荷物を積んだ馬車もあるから、皆んなと歩調を合わせて進んだ。
でも帰りは、「リオと翔んで帰って来い」とアルファムに言われている。
日の国に行くのは楽しみだけど、アルファムと離れることはやっぱり寂しい。
だから俺も、「わかった。アルに早く会いたいから翔んで帰ってくる!」とアルファムの胸に抱きついて、頬を擦り寄せながら言った。
「カナ、日の国は治安の良い所だと聞く。だが、美しいおまえを目にして、よからぬ事を考える奴が出てくるかもしれん。その場合は、躊躇わず魔法を使え。一瞬でも迷っておまえに何かあっては困る。いや…困るでは済まないな。俺は死んでしまうぞ?だから、悪い奴には情けなどかける必要はないからな」
アルファムが俺の頭を撫でて、ここ何日も繰り返し聞いたことをしつこく言う。
俺は、アルファムを見上げると、少しだけ眉を寄せて言った。
「アル、大丈夫だから。ちゃんとわかってる。アルに心配かけるようなことはしないよ。自分の身は自分で守れる。それにリオだっているし…。というか、そもそも俺は美しくないんだから、誰が何をしてくるんだって話だよ…」
「はあ…、おまえに自覚がないから余計に心配になるんじゃないか。リオ、頼んだぞ」
「わかってます。アルファム様、俺がしっかりとカナデを守りますから安心して…と言っても無理でしょうけどね」
リオが苦笑いをして、俺とアルファムから目線を逸らした。
どうやら傍から見ると、俺とアルファムは、すごくイチャイチャしてるように見えるらしい。
「おまえは可愛くて美しい」
「アル、目が悪いんじゃないの?」
「バカを言え。俺の目は、あの山の上にいる鳥まで見えるぞ」
「え!うそだぁ。俺が見えないからって適当なこと言ってない?」
「俺は嘘などつかない」
「…アルって態度が堂々としてるから、何言っても本当の様に聞こえるよね…。俺、くだらないことで何回か騙された気が…」
「ん?何か言ったか?」
「え?い、いや…っ、俺よりもアルの方が綺麗でかっこいいって言ったんだよ!」
「そうか。可愛い奴め…」
「ゴホンッ!んっ、エッヘンッ!」
突然、横から大きな咳払いが聞こえた。
俺とアルファムが、揃って咳が聞こえた方を向く。
そこには額に手を当てて上を向き、大きな溜め息を吐くサッシャの姿があった。
「あ、サッシャ、ごめん。そろそろ行く?」
俺は、アルファムに抱き着いたまま、顔だけサッシャに向けて言う。
額に当てていた手を下ろして、サッシャが引きつった笑顔を見せた。
「そうだね。もう出なくちゃ、泊まる城に着くのが真夜中になってしまう。国境沿いに流れる川の橋の上に着いてから、俺への挨拶もそこそこにイチャつき始めたからね。ねぇ?昨夜充分にイチャついてたんだろ?イチャついて来たんだろ?まだ足りないの?ていうか、人前でイチャつき過ぎだろうが。もういいよね?さっ、早くお別れのチューして行くよっ」
一気にまくし立てるサッシャをポカンと見ていたけど、自分が皆んなの眼前で、どんな恥ずかしいことをしてたんだと今更気づいて顔が熱くなり、慌ててアルファムから離れた。
「カナ」
「…なに?」
アルファムが俺の名前を呼び、俺は俯いて目だけを上に向ける。
アルファムの顔が素早く近づいて、すくい上げるようにキスをされた。
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