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18歳以上ですか?
19にしおりをはさみました!
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19
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アルファムと二人で、大広間の隣にある小さな部屋に入った。
まあ言わば、本番に入る前の控え室みたいな部屋だ。
部屋にはシアンと数人の使用人がいて、俺とアルファムの服や髪を素早く整えると、使用人達はすぐに出て行った。
俺とアルファムがソファーに座ると、シアンが大まかな式の流れの説明をする。
俺は、緊張しているせいで内容があまり頭に入ってこなかったので、アルファムに任せておけばいいや…と、呑気に用意されたお茶を飲んでいた。
柑橘系の爽やかな香りのするお茶を飲んで気持ちを落ち着かせていると、扉がノックされて、アルファムの弟のローラントが入って来た。
俺は反射的に立ち上がり、アルファムが声をかける。
「あっ!」
「ローラント、よく来てくれたな。礼を言う」
白シャツと黒地に金で装飾が施された少し派手な上着のローラントが、俺達の前に来て頭を下げる。
「ご無沙汰しております。兄上、カナデ様。本日は、おめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます」
「ローラントも昨夜遅くに着いたのだろう。疲れてるのに悪いな」
「ううん、大丈夫だよ。朝に挨拶に来ようと思ってたんだけど寝坊しちゃって…。ごめんね、兄さん、カナデ…」
ローラントの堅苦しい挨拶にドキリとしたけど、すぐに人懐っこい笑顔になったのを見て、安堵する。
彼が俺の弟になるのか…と嬉しくなって、俺も顔を綻ばせた。
「疲れてたんだね…。ローラント、これからよろしくお願いします。俺のことも『兄さん』って呼んでくれてもいいよ?」
「え?カナデはカナデだよ。それに、カナデは兄さんというより弟みたいだし」
「え…?」
俺よりも七つも歳下の男の子に『弟』と言われた。
確かにローラントは、俺よりも背が高いし、整った顔のせいか大人っぽく見える。
でも、俺の方が人生経験もあって大人なんだから…と俯いていると、隣からクスリと笑う気配がした。
「ローラント、カナをいじめるな。カナは、弟が出来ると喜んでいたのだぞ?」
「えっ、ほんと?嬉しいな!ごめんねカナデ。カナデが可愛いから、つい意地悪したくなっちゃった。じゃあ今日から『カナデ兄さん』って呼ぶよ?いいかな?」
俺は勢いよく顔を上げると、満面の笑みで頷く。
「うん!何度でも呼んで?俺さ、兄弟がいないから、ローラントみたいな素直で可愛い弟が出来て、すごく嬉しいんだよ」
「ありがとう、カナデ兄さん。僕も、優しい神の子が兄さんになってくれて嬉しいよ!」
「…か…神の子?」
困ってアルファムを見上げると、アルファムも片眉を上げて俺を見た。
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