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奏の想いにしおりをはさみました!
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奏の想い
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カエンの誕生日兼次期国王就任の式の招待客として、各国からの来賓が続々と城に到着している。
まだアルファムと結婚する前に、アルファムの在位五周年を祝うために集まった各国の王族達を、正面玄関を覗けるバルコニーに隠れて、リオとこっそり見たことが懐かしい。
でも今回は、そんなことはしない。この国の王妃として、カエンの母として、謁見の間で、アルファムと俺とカエンで、各国の来賓と対面する。
この世界では、長らく平和が続いている。
なので、王が国を留守にしても心配はない。
だから各国とも、王様か王子が来賓として炎の国に来てくれている。
最初に入って来たのは、水の国スイの王レオナルトだ。
レオナルトは、とても仲の良い友達だ。炎の国にも数回遊びに来たことがある。
「カエン王子、この度はおめでとうございます」
「ありがとうございます」
「アルファム王も変わらず元気そうでなにより。…カナデ、少し痩せたか?」
「そう?普通だよ。レオンも元気そうで良かった。アレン王子はどうしたの?」
「ああ、あいつには留守番をさせている。俺がいない間、おまえの采配で国を動かせと言ってある。俺が傍にいると何もできんからな。これも王になる為の勉強だ」
「へえ…、レオンもいいお父さんしてるね」
ふふっと笑った俺に一歩近づいて、レオナルトが手を握ってきた。
「おおっ、手が冷たいではないか。寒いのではないか?それに指も以前にも増して細くなっている…、本当に大丈夫か?」
「えっと…」
「レオナルト王、カナに触れるのはやめてもらおう。…いつまで経っても油断も隙もない奴だ」
アルファムが、素早くレオナルトの手を掴んで離し、俺の手を暖かく大きな手で包んだ。
もう何百回と触れたアルファムの手だけど、触れる度に嬉しくて幸せな気持ちになる。
「相変わらず嫉妬深いな。少しくらいよいではないか」
「スイ国王、次の方が待っておりますので、退室をお願いします」
アルファムに払われた手を見て文句を言うレオナルトに、シアンが退室を促す。
レオナルトは「またな」と俺に手を挙げて、部屋を出て行った。
アルファムが、レオナルトが出て行った扉を見ながら、大きな息を吐く。
「あいつは妃も王子もいるというのに、まだカナに手を出そうと思っているのか?しつこい奴だ」
「ふふ、そんなこと思ってないよ。だって俺とレオンは友達だよ?」
「…おまえのその天然な所が、とても心配だ」
アルファムが、俺を見つめてまた大きく息を吐く。
なんか失礼なことを言われた気がするけど、焼きもちを妬いてるみたいだから、まあいいか。
俺は嬉しくなって、アルファムの手に唇を寄せた。
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