アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
14にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
14
-
翌朝早くに、宿代わりの農家を出発した。
昨夜、すぐ近くに思えた森だったが、まだかなりの距離があった。
しばらく飛翔して森に辿り着き、よく注意をしながら移動する。
思ったよりも鬱蒼と木が茂る森の真ん中辺りに、拓けた場所を見つけた。
その場所に、小さな家が見える。
他にはそのような場所は見当たらないから、あそこが、父さまと母さまの秘密の家かもしれない。
俺達は、シアンを先頭に、ゆっくりと小さな家の前に着地した。
「ここに父さまが…」
「いらっしゃると良いのですが。ここにいないとなると、もう捜しようがありませんから」
「カエン様、シアン様、とにかく行ってみましょう」
俺は、シアンとリオに頷いて、「ここで待ってて」とオルタナの首を撫でた。
俺に答えて首を縦に揺すっていたオルタナが、ふいに首を伸ばす。
そして、家の裏側に向かって歩き出した。
「オルタナ?どうした?」
俺は、慌ててオルタナの後を追う。
家の裏側に出ると、そこには草を食むヴァイスがいた。
「シアン!リオ!」
「どうなさいました?」
俺の声を聞いて、二人が走って来る。
オルタナによく似た白馬を目にして、二人が大きく息を飲んだ。
「ヴァイス…!」
「ヴァイスがいるってことは、今ここに父さまがいるってことだよね。早く会いに行こう」
「はい!」
ヴァイスの隣で仲良く草を食むオルタナを置いて、正面の玄関へと向かう。
玄関前の階段に足をかけたその時、ギギっと音を立てて玄関の扉が開いた。
「なんだ…おまえ達、ここを見つけるのが早かったな」
「父さま!早くないよ!すごく心配したんだからなっ!」
「そうか。すまなかったな。さあ、入るといい。シアンとリオも」
父さまの気持ちもわかるし無茶をするのも仕方ないよ、とずっと心配していたけど、父さまの顔を見たら腹が立ってきた。
俺は、足音を鳴らしながら階段を昇り家の中へ入る。
シアンとリオは、父さまの前で深く頭を下げてから、静かに入って来た。
玄関を入ったすぐの所に、広い部屋がある。その部屋の奥に幾つかの扉があり、父さまが、その中の一つを開けて「入れ」と言った。
白っぽい木で作られた床と壁と天井に囲まれた明るく綺麗な部屋。その部屋の真ん中に大きなベッドが一つ。ベッドの上で、変わらず美しい母さまがいた。
「カナ…。父さま、まだ魔法が効いてるの?」
「ああ。俺が毎日朽ちない魔法をかけている。いつまで効くのかわからないが、効く間はかけ続けたいと思っている」
「そんな…っ!カナとの約束はどうするんだよっ!カナは、海辺の城に埋めて欲しいって言ってたんだろっ!」
「約束は守る。カナの身体が朽ち始めたらな。その時は、俺も海辺の城に行こうと思っている」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
349 / 427