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18歳以上ですか?
15にしおりをはさみました!
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15
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母さまがいる部屋を出て、最初の部屋に皆で戻った。
その部屋の真ん中に、大きなテーブルと四脚の椅子がある。
俺は父さまの隣に、反対側にシアンとリオが座った。
「何か飲むか?」
「いい。シアンとリオは?」
「俺達も結構です」
シアンが答えて、リオが頷く。
「そうか」と呟いた父さまの方に身体を向けて、俺は話し出した。
「父さま、国のことはどうすんの?」
「国政は、おまえに任せる。俺が教えるべきことは、全て教えたつもりだ。それにローラントもいるしな。あいつを中央の城に呼んで、助けてもらうといい。…俺はもう、何も出来ない」
「はあ…そう言うと思った。今も留守をローラントおじさんが守ってくれてる。俺もカナが病気になった頃から、覚悟を決めてたよ。だからやるよ。でも即位するとなると、全てをはっきりさせないといけない。カナの死を公表して国全体が喪に服す。そしてそれが明けてからじゃないと即位は出来ないよ」
「そうだな…」
父さまは、まるで他人事のように言う。
母さまの姿を見て少し収まっていたけど、俺はまた腹が立ってきた。
ガタン!と大きな音を立てて、思わず腰を浮かせる。
「だから!カナを早く埋葬してあげろよ!カナを休ませてあげろよ!カナは、四十九日が過ぎたら、天国か地獄へ行くんだって言ってたんだろ?でももう日が過ぎてしまった。カナはどこへも行けずに困ってるよ、きっとっ!」
「…そうだな。だが行く所がないなら、ずっと俺の傍にいればいい…」
「父さまっ!」
俺は、はあっ…と大きく息を吐いて、浮かせていた腰を、また音を立てて椅子に落とした。
しばらく黙って俺を見ていた父さまが、ふっ…と表情を緩める。
「おまえは大きくなったな。言うことも一人前になった。カナが…しっかりと育ててくれたからだな」
「そうだよ。カナに感謝しろよ。そのカナの為にどうすることが一番なのかよく考えろよ!」
またしばらくの沈黙の後に、ようやく父さまが声を出す。
「…わかった。考えるから、一日時間をくれないか?」
「またどこかへ逃げるなよ。絶対にこの家から出るな。それと俺達も、父さまが結論を出すまでは、ここにいるからな」
「…承知した」
父さまは、もっと頑なに抵抗するかなと思っていたけど、案外あっさりと考えると言ったことに少し拍子抜けした。
父さま自身が、どうすればいいのか迷ってるのかもしれない。
俺は、複雑な気持ちで父さまの横顔を見つめた。
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