アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
27にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
27
-
「ハオラン。どうして街に火をつけたのか教えて。わからないなんて嘘だろ」
ハオランは、ピクリと肩を揺らしてこちらを見た。
俺は、出来るだけ優しい顔をする。
俺と自分の握りしめた手を交互に見ながら、ハオランがゆっくりと口を開いた。
「…俺がいた中華は大きな国で、幾つもの小さな国が集まっているんだ。それぞれの国の王族や位の高い者達は、俺が出した炎のように、何かしらの力がある」
「へえ…、この世界と似てるな」
「そうなの?」
ハオランが、大きな目を更に丸くする。
俺は頷くと、「続けて」とハオランの目を見つめる。
「カエン、後でこの世界のことも教えてね?それで俺を襲ってきた弟の母親は、隣の国の出身でね、その国の者は霧を操る力を持っているんだ」
「霧?あの白くモヤっとした?」
「そう。でもただの霧じゃないよ。毒がある。その霧を吸うと、身体が痺れて動かなくなり、吸いすぎると死んでしまう恐ろしい力なんだ」
「怖いな…」
この世界には無い魔法だ。ここは物理的に攻撃する魔法がほとんどだから、毒を浴びるというのはかなり恐ろしいな…と身をすくめた。
「もしかして…ハオランはその毒を吸ったのか?」
「うん、少しだけ…。そのせいで身体が動かなくなって、深い山の中にある崖から落ちたんだ」
「…よく無事だったな」
母さまみたいに海に落ちたなら助かることもある。まあ実際は、父さまが落ちてくる母さまを助けたのだけど。
山の中ということは、崖の下は地面じゃないか?あ、そうか。その崖から落ちた時に、この世界に来たんだな。
「うん…。そのまま落ちてたら死んでただろうね…。でも気づいたらこの世界の森の中に倒れてた。多少の擦り傷はあったけど、骨が折れたりもしてなかったし…。もし向こうの世界で崖下に落ちても生きていたら、また殺されるだろうし。だから俺は、この世界に来て良かったと思ってる」
「そうか…。大変だったんだな」
「うん…」
項垂れるハオランに同情しかけて、俺は慌てて口を開いた。
「ハオランがここに来た理由はわかった。だけどまだ街を燃やした理由を聞いてない!」
「あ…そうだった」
ハオランが、ペコリと俺に向かって頭を下げた。
「カエン…カエンの大切な国を燃やしてごめんなさい。あの時、俺は混乱してて、周りのことを考えられなかったんだ…」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
391 / 427