アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
6にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
6
-
「また来るからね」
「はいはい」
「……なにそれ。来てほしくないの」
「違うよ。早く帰れって。すぐに暗くなるんだから」
「帰れとか言うしー」
「帰るんだろ?」
「帰るよ?」
「帰れよ」
「帰るよ!」
「帰れよ」
「帰るもん」
「気をつけて」
「あっ、帰んなきゃ」
「いや、早く行けよ」
「早く行けとか言うー」
「なんだ君は。どうしたいんだ」
立ち去りづらくて、玄関先でぐだぐだする。一週間は長いのに、ヒヤさんと居られるのはそのうちの数時間だけだ。あっという間に終わってしまう。
楽しい時間は早く過ぎて、つまんない時間は長いの、なんていうんだっけ。相対性なんとか。
えーと。
「…………………………」
ヒヤさんを見上げる。わかってる。バイバイしなきゃ。実際、暗くなってきたし。言うこともないのに、なにか言いたい。なにも出てこない。
「……………そんな顔で見るなよ。帰したくなくなるだろ」
腕をさすって、ヒヤさんは顔をそらした。
「じゃあ帰んない……」
「駄目」
「……………………」
「……………………」
「………………うん、あのね、困らしたいわけじゃないし、帰んなきゃいけないのもわかってるんだけどね」
「うん」
「……………………」
「……………さびしいの?」
「んー? んー……………わかんない。ごめんなさい。帰る」
「………………………」
「………………………」
「………………………」
「…………………帰る……」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
50 / 136