アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
2.にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
2.
-
久弥から、
「初めて会った時のこと、覚えてます?」
なんて聞かれたから、入社前研修の時の話をした。
久弥がクスクス可笑しそうに笑うから、何か変な事言ったか?と訝しく思っていると、
「すみません。同じだったから」
と言われた。
「同じ?」
「オレも、研修で樹さんを見たとき、俳優みたいだと思ったので。
しかも、営業辺りかなって思ってたら、オレが希望してたトコだったから、“勿体無いなぁ”って思ってたんですよ」
久弥は目尻に滲んだ涙を拭き取った。
話そのものよりも、そんな事で笑ってる久弥が可愛くて、思わず俺も笑ってしまった。
「可愛い」
呟いてキスすると、腕の中の久弥がちょっと拗ねたように言う。
「樹さん、よくそれ言いますけど、オレ“可愛い系”じゃないと思います。
樹さんってちょっと変わってますよね」
“そんな台詞が可愛いんだ”なんて言ったら、もっと拗ねるかな?
「仕方ないだろ?
俺にとっては、久弥が一番可愛いんだから」
そう言って抱き締めると、観念したらしい久弥が、
「もう…」
と口を尖らせるから、抱き締める腕にぎゅっと力を込めた。
あの時はまさか、“桐島くん”をこの腕に抱き締める日がくるとは、夢にも思わなかった。
なんだか切ない程の愛おしさが込み上げて、久弥の髪の毛に顔をうずめた。
「久弥、可愛い。
愛してるよ」
囁いた声は、涙で掠れていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 85