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弱くなった。
お前が俺といることで、誰かに酷く見られたら。
ーーーー俺を惨めにさせんなよ。
深谷の、あれは冗談だった。けれど俺は本気でそれを厭う。俺のせいでお前が誰かに誹謗されたら。遠ざけられたら。俺と同じように、嘲笑と、ありもしない噂の対象になるなんて許せない。
大学で、関わるのはもうやめよう。学校から俺の家に直行するのさえ危うい。やめよう。むしろなんで俺はバカだったんだ。なんで考えなかったんだ。バカ。
「いさー。ういー。なにやってんのー」
………………視界の端で、深谷が例の二人組に近寄った。知り合いかよ。軽く絶望する。俺はそのまま校舎の角を曲がる。
あとは声だけが聞こえた。
「研究だよ。つか深谷、あいつと関わってんの」
「やめろよマジで。大丈夫? なんかされなかった?」
「浅原、同じサークル」
「いやいや……大丈夫?」
「なにが?」
「連れ込まれてたじゃん。あっぶな」
「つーか襲われてた?」
笑い声。うるせーやつらだな。
「あー…………なに、お前ら、浅原嫌いなの?」
「……………嫌いっていうか、……なあ?」
「あー………俺ならさっきの状況、逃げるけど」
ギャハキャハ笑う、複数の声。どうして俺は足をとめて、その声を聞いているんだろう。彼だけは笑っていませんように。彼だけは。つらい。駄目だ。こんなの、気になっても俺の精神が悪くなるのは目に見えている。いいことは確実に、何一つない。
深谷の笑う声が、聞こえた。
「なんだあ、お前あいつ嫌いなんだ? 実は俺もなんだよー!」
眩暈がした。
死にたい。
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