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料理にしおりをはさみました!
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料理
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凛月がずっと後ろをついてくる。
親鳥に付いていく雛のようにずっと離れない。
話しかけられる訳でもなく、ただじっと俺の後ろで見ている。
「手伝ってくれるか?」
「はい!」
嬉しそうな返事が帰ってきた。
しかし...
包丁で切らせるのは怖い。
そういえば以前、凛月は刃物で切られたような傷があった。包丁を怖がる可能性もある...
何なら安全に出来るか考えて、凛月には卵を混ぜてもらうことにした。
かき混ぜるだけなのだが、料理ができて嬉しいのか、凛月はご機嫌だ。
ここに来た当初は、怯えて泣いて笑顔なんて考えられなかったのに、最近は笑顔も少しだけ増えてきた。
まあ、それでも泣くことは多いが。
食材を切り終わった頃、インターホンが鳴った。
先程までご機嫌だった凛月はインターホンの音に驚いたのか涙目だ。
モニターを確認すると、そこには奏斗が映っていた。
「凛月、ちょっと待ってろ」
凛月を置いて玄関へ向かおうとリビングのドアを開けた時、凛月に服を摘まれた。
「凛月?大丈夫だから」
今日の凛月はやたら俺にベッタリで、服の裾をつまんで離す気はないようだ。
それでも歩くと、俺に合わせて凛月もちょこちょこと歩く。
なんだこの可愛いやつは。
「慧ー、いるでしょー?開けてー」
外から声が聞こえて、凛月が少し俺の服を引っ張る。
後ろを向くと、不安そうな顔の凛月。
「奏斗だよ。怖い人じゃない。凛月を診てくれた俺の友達。絵本をくれた人だよ。」
「絵本の、人?」
「そう、待ってるから開けてやらないと。」
奏斗と聞いて理解出来たのか、凛月は引っ張るのをやめた。
玄関のドアを開けると、「もー、遅いよー」と奏斗は言った。
「あ、凛月くん!こんにちはー、調子はどうかな?」
凛月は俺の後ろに隠れながら奏斗を覗き見ている。
「...こ、んに、ちは」
「わぁ!初めて凛月くんと会話出来た!感動で泣きそうだよ」
「泣くな笑、で、どうしたんだ?」
「凛月くんの様子を見に、あとはお昼ご飯食べたいなーって」
「ここは飲食店じゃないぞ」
「まあまあ、そう言わずに、ね?」
リビングに戻り、昼食の準備に戻る。
奏斗の分の卵を割り入れてやり、凛月に卵の入ったボウルを渡すと、ひたすら混ぜていた。
「ねえ慧ー、最近どう?上手くいってる?」
「何がだ?」
「なんでも。」
「まあ、特に問題はないな」
「そっかあ。凛月くんの様子はどう?」
「飯もちゃんと食べれるようになってるし、悪夢にうなされる回数も減ってきてる」
「お、いいじゃん。ちょっと凛月くん借りてもいいー?」
凛月は大方混ぜ終わっているし、まあ大丈夫か。
「だってさ、凛月。行けるか?」
「...はい、いってきます」
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