アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
苦界の蓮華8にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
苦界の蓮華8
-
「宗純様は、噂に違わぬ破戒僧でござんすなぁ」
くすっと太夫がそう言うと、宗純はふふッと笑った。
風の噂で、一休宗純という妙な僧侶がいる事は耳にしていた。
賢いが、皮肉や頓知を駆使する酔狂な男だという話だ。
ただ、こんなに山猿のような男だとは思わなかった。
地獄太夫が最初に
『山居せば深山の奥に住めよかし ここは浮き世のさかい近きに』
という歌を送った。
これは「お坊さんがこんな色街でなにをしているんですか?」
という建前的に解釈する事も出来るが、
本当は「山猿坊主は山にすっこんでろここは花街だぞ」
という意味合いが強い。
対して宗純が
『一休が身をば身ほどに思わねば 市も山家も同じ住処よ』
と返した。
これは『自分はこの身を何とも思わないのでどこにいても同じです』
という建前的な解釈で返した。
本来『どこにいようが俺の勝手だろ』ほどの意味合いで返歌した。
そして
『聞きしより見て恐ろしき地獄かな』
と続けた意味は
『噂で聞いた地獄太夫は大変美しく、傑出した花魁だな』
と評価したのだ。
それに対し太夫が、
『しにくる人のおちざるはなし』と言った。
意味は、
『私と一事に及ぶつもりなら、あたなも覚悟しなさい』
というものだ。
2人のやり取りについていけない禿と新造は、
何が起こっているのかサッパリ分からない様子だった。
けれど、太夫がどこか楽しそうな様子だけは分かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 26