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補習後にしおりをはさみました!
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補習後
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補習も失敗に終わり、俺は教室で一人、ポツンとしていると廊下の方から聞き慣れた声がした。
「京介か?」
「・・・相良さん」
この人は普段、俺を小林と呼ぶが気まぐれに京介と呼ぶことがあり、主に二人でいる時に使う。
だが俺は相良さん以外にもう一人いることに気づいた。
「小林ぃ、こんなとこに一人で何してんだよ」
「・・・あぁ、秦野さんもいたんですか」
この人は秦野和彦。
相良さんと同じ26歳。
保健室で怪我人や病人を診ている。
そしてそこに来た女子に手を出しているという噂がたつぐらい女好きで有名。
本人曰く、「元気な子じゃないと盛り上がらないだろ?俺の下の」と言いかけたところを相良さんのグーパンチによって阻止される、ということがあった。
あの人が誰かを殴るところを俺は初めて見たが、彼にそれをさせる秦野という人はある意味すごいと思った。
「ちょ、そんなあからさまに嫌そうな顔せんでも!泣くぞ!?俺!」
「ハンカチあるんでいつでもどうぞ」
「ひでぇっ!相良ぁ、小林が酷いこと言うんだけど!」
「うるさいぞ、秦野」
と、呆れ気味に言う相良さんに秦野さんはお前もかっ、と大声で言った。
静かな教室ではとても響く。
正直うるさい。
「あのなぁ小林、俺は先輩だぞ!もっと敬意をだな・・・」
「ところで、お前はここで何してたんだ?」
「・・・あのー、相良さーん。今俺のターンなんだけどー」
「黙れ」
「・・・・・・・」
それっきり彼は何も言わなくなった。
・・・・・・・
「・・・そんなことがあったのか」
「・・・はい」
「でも最初はやる気あったんだろ?お前、また心無いこと言ったんじゃないか?」
「またって何ですか、またって」
「京介はちょっと正直すぎるところがあるからな」
「う・・・そ、それは高校の頃の話でしょうが!」
「そうか?あんまり変わってないと思うけど」
そう言って相良さんは懐かしそうな、でも少し悲しそうな、そんな表情を浮かべていた。
・・・しまった、その時俺はそう思った。
相良さんにとっての高校生活はとても悲惨なものだったからだ。
話題を変えなくてはならない。
でも話題作りの下手な俺は何も思いつかなかった。
その時、
「相良」
さっきまで相良さんに黙れと言われ、何一つ喋らなかった秦野さんが口を開いた。
「ん?どうした、秦野」
相良さんがそう言うと秦野さんはニッと笑い、
「今から飲みに行かね?」
「え?でも・・・」
普段はその真面目な性格から、理由もなく飲みに行くことが滅多にない相良さんは返事をすることに躊躇っていたが、
「たまには良いだろ?」
「・・・たまには、か・・・」
「な?」
「・・・・・・・」
・・・なんか俺、すごく取り残されてる感半端ないんだが。
「・・・・・・わかった」
「ん?」
「たまにはっ、たまには、な!」
「そっか。小林は?来るか?」
「・・・遠慮しときます」
「そ。じゃあな、小林」
俺は断らせてもらった。
別に酒が飲めない訳じゃない。
ただあの空気の中で飲んだら悪酔いしてしまいそうだと思ったからである。
そして俺は二人に別れを告げ、自宅に帰った。
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