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18歳以上ですか?
期末考査当日にしおりをはさみました!
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期末考査当日
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「・・・・・・・・・」
「・・・ん?どうした小林。そんな切羽詰まった顔して」
相良さんが心配そうに俺に話しかけた。
「まぁ、色々と・・・」
「へぇー・・・」
切羽詰まってはいないけど。
そして会話終了かと思えば、相良さんがそういえば、とまた口を開いた。
「最近、篠村が授業中に寝る回数がだいぶ減ったんだけど・・・」
「え、そうなんですか?」
「ああ。お前、喝でも入れたのか?」
「え、いや・・・バイト、減らしたみたいですし・・・だからじゃないですか?」
「でも、それをさせたのはお前なんじゃないのか?」
「ああ、まぁ・・・」
相良さんは何が言いたいんだろうか?
そんな俺をよそに相良さんは何故かにこにこしている。
「?相良さん?」
「いや、まぁ頑張れ」
「??」
尚更意味がわからない。
いや、もちろんテストは頑張ってもらうけど(篠村に)。
「一ヶ月間、篠村とずっと一緒に補習してきたんだろ?」
「俺は教える側ですけどねっ!」
「・・・?あ、ああ、そうだな・・・」
あれ、なんか引かれてるような・・・
「それでさ、今回は世界史あるだろ?」
「え・・・ああ、ありますね。それがどうかしましたか?」
「いや、ここで説教紛いなことを言うのもあれなんだが・・・」
「・・・へ?」
すると急に相良さんは真面目な顔になり、俺に言った。
「補習とはいえ、世界史のテストの内容、それに近い範囲を集中的に教えるのは絶対に駄目だからな!」
「あー・・・」
相変わらず糞真面目な頭をしている相良さん。そして俺の微妙な反応に彼は青ざめた。
「ま、まさか教えたのか!?カンニングにも等しいレベルだぞ!?」
「なっ・・・しませんよそんなこと!というか世界史自体やってないです!」
「え?」
さっきは青ざめたかと思えば、今度は口を開けてぽかんとしている。本当にこの人は毎回面白い反応をするな。その度に俺は笑いを堪えるのに必死だった。
「俺もそう思って少し躊躇ってはいたんですけど、篠村の方から必要ないって言われたんですよ」
「篠村の方から?」
「はい。それに世界史の授業は真面目に受けてるし、俺も大丈夫かと思ったんです」
「『世界史の授業は』、ねぇ・・・」
あ、今自分で押しちゃいけないスイッチを押してしまった気がする。
「え・・・いや、そういう意味で言った訳ではなくてですね・・・」
「俺の方はやっと寝る回数が減ったくらいなのにな・・・」
「あはは・・・」
うん、駄目だ。話を変えよう。
「補習の効果、あると良いんですけどね・・・」
「・・・大丈夫だろ、お前が教えたなら」
「え?」
「お前、頭良いし。俺達が通ってたあの高校も何と無くで入試受けて、そして受かったんだろ?俺はすっごく苦労して勉強して・・・」
「・・・相良さんだって頭良いじゃないですか」
そう言うと相良さんはむすっとして、
「お前に言われたって嫌味にしか感じないんだけど」
と言った。
本当にこの人は色々な表情をするな。
「でも頭が良いからって教えるのが上手とは限らないと思うんですが」
「・・・まぁ、確かにそうだな」
「・・・ですよね」
俺がため息を吐くと、相良さんは安心しろとでも言うように、俺に笑いかけた。
「・・・とりあえず気楽に待っとけよ。教えるのが上手か下手かは篠村のテスト結果が教えてくれるさ」
「はあ・・・」
そしてその日、俺と相良さんはテスト時の監視役や、問題用紙の修正などで期末考査の四日間、移動してばかりだった。
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