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仲直り、そしてにしおりをはさみました!
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仲直り、そして
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「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
一瞬だけ、気が飛んだ。
その一瞬が俺にはわからなかった。
わかったことは、今自分が掴んであるものは篠村の腕であるということだ。篠村は俺の行動に驚いており、そして俺も自分の行動に驚いた。
「あ・・・・・」
「・・・・・何」
篠村は質問した。そりゃそうだ。いきなり腕を掴まれて驚かないはずがない。しかし、俺は答えることができなかった。
「あ・・・いや・・・」
「・・・・そうですか、じゃ」
「待っ・・・」
また離れようとする篠村の腕を俺はまた掴んだ。
「っ・・・今度はな「行くな」
篠村の言葉を遮り、俺はそう言った。
「頼むから・・・行かないでくれ」
「・・・・・・・・」
篠村は俺の顔をじっと見つめた。なんとなくその視線が怖くて俺は黙り込んでしまう。まだ、言いたいことがあるのに。伝えたいことが、まだあるのに。俺が黙り込んでいると篠村は口を開いた。
「・・・・小林はどうしたいの。俺のこと、どう思って・・・・ごめん、変なこと聞いて」
「好きだ」
「・・・・・え」
多分、今の自分の声は震えてる。頭の中が真っ白で・・・。ただ好きだと言っているだけでこんなに緊張してしまうとは・・・。そしてそれは自分が篠村に言った好きの意味を表してもので・・・つまり俺はそういう意味で篠村が好きなのだろう、そう思った。
「好きだよ・・・多分・・・」
逃げてはいけないとわかっていてもどうしても逃げ道をつくってしまう自分が情けなくてしょうがない。
篠村は今どんな顔をしてるだろうか。今の状況ではとても篠村の顔を見れない。
「・・・小林」
篠村が口を開いた。一体どんな返事をくれるのだろうと俺はじっと待つ。
「・・・好きっていうのは、その、何を・・・」
「・・・・・・はあ?」
「いや、だからその・・・小林は何が好きなのかなーって・・・」
「・・・・・・・・」
何を言っているんだこいつは。人が必死で気持ちを伝えているというのに。
・・・駄目だ、今ので緊張が一気になくなった。これは良かったのかそうじゃないのか。俺にはわからなかったがもうどうでも良く感じた。
「・・・好きだよ、お前が」
俺はため息ながらに答える。俺の答え方に納得がいかなかったのか、篠村は微妙な顔をした。
「え、何そのめんどくさそうな言い方」
「・・・よく俺の気持ちがわかったな、褒めてやるよ」
「全然嬉しくないんだけど!?」
少しの間、篠村は腑に落ちないようで眉を顰めるが、本人もどうでも良くなったのかすぐに笑顔を見せた。
「・・・俺も、小林が好き」
「・・・知ってる」
そう言って俺も笑顔を見せた。
・・・ああ、こうやって篠村と笑い合うのは何日振りだろうか。そこまで日は経ってはいないけれどもとても懐かしく感じる。やっと・・・やっと戻れた。そうしみじみと感じながら、俺はこの時間を大切にしたい。そう思った。
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