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5.約束にしおりをはさみました!
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5.約束
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「んっ…ん〜〜」
「遥、おはようございます。」
「んん?おはよう雨依」
「遥、髪が乱れていますよ。遥の黒髪は可愛らしいですね」
「うるさいなぁ〜〜お前なりの嫌味か〜?お前は寝起きだろうといつも完璧な癖のないさらっさらの金髪だもんなぁ。羨ましい、ついでに顔面も」
起きたばかりの遥はかなり寝惚けているので、昨日のような発言を今言ったところで遥は怒ることはありません。
「僕は遥の髪がいいです」
「意味わからん…」
ここぞとばかりにぼけーとしている遥の跳ねた黒髪をちょいちょいと手で触って治します。こうしていると、まるで遥と立場が逆転したようです。
「遥は本当に背が小さいですね。」
「……てんめえ…朝っぱらから喧嘩売ってんのか。違うからな、お前が伸びすぎてるだけだ」
「遥が僕をここまで大きく育ててくれたんですね」
「おうそうよ、俺に感謝しな。我が子よ」
遥はそう言いながら着ていたパジャマを徐に脱ぎ始めました。
僕はその姿をじっと見つめます。遥の肌は白く綺麗で、とても美しいです。少し痩せ気味な体型は気になりますが、細いその腰にはいつも見惚れます。
「おい」
「…」
「おい雨依?」
「はい、何でしょうか?」
「…何をじっと見つめてきてるんだお前は。雨依も早く着替えろよ」
「あ、はい」
「お前気づくとよく俺の着替え姿見てるよな。もしかして、俺の体好きなのか?」
「は…」
何ということでしょう。この僕としたことが、言葉を詰まらせるなど、これまで無かったことです。遥……侮れません。まさか遥がそう切り込んでくるとはこの僕にしても想定範囲外でした。
「…何だか負けた気分です」
「何言ってんだお前は、早く着替えろっての」
ー
「遥、ビュッフェなど豪華ですね。キャビアまでありました。ほら」
「うげっ、ここまじで高いホテルなんだな…」
「遥、あまり無理はしないでください。誕生日プレゼントとしては有難く受け取らせていただきますが」
「へ、平気だよ。お前は何も心配しなくていいんだ」
ぽん、と遥に頭を触られました。カッコつけてるつもりなのかもしれませんが、つま先を立てて僕の頭に触れてくる遥は毎回可愛いです。
「この後どうしようか」
パンをぱく、と食べながら遥が言いました。
「はい?家に帰るんじゃないのですか?」
「家な…。あそこにはもう戻らないかもしれない」
瞳を伏せた神妙な顔をした遥が言いました。
「何故ですか?」
「それは…」
そう言って遥がふと僕の顔を見ました。しかし、首を傾げる僕を見てすぐ顔を逸らしました。
「いや、引越ししようかとな。何となく」
「そうですか。遥がそうするのなら僕はついて行くだけです。」
「…そうか」
僕たちはその後ホテルの部屋に戻りました。
「荷物の準備をしろよ、雨依」
「はい。」
そのとき、何か良からぬ輩がこちらに近づいてくる気配を察知しました。
(ドアの向こう…でしょうか。)
「どうした?雨依」
歯ブラシを咥えた遥がきょとんとした顔で、荷物を詰める動きをピタリと突然止めた僕を見て不思議そうに見ています。
「いえ…遥は身支度の用意をしていて下さい」
「え?ああ、まあするけど…お前も準備しとけよ」
「はい。」
遥が洗面所へ戻ったところを見て、僕はその隙にそっと部屋のドアを開け廊下へと出ます。
(確かこちらから3人ほど悪い気配が…)
廊下を歩く足を冷静に進めていると、突然武器を持った男が3人目の前に現れました。
「ローモンド・ブルー、即刻我々と共にここから退避せよ!」
(……物騒な輩です。退避せよ、そう言う割に僕に思い切り武器を向けて今すぐにでも銃弾を発砲する勢いです。)
「何故僕を狙うのですか。僕はここから去ることはできません。何故なら、僕には遥という大切な人がまだこのホテルの部屋にいるからです。」
「何故だとっ…?すっとぼけるのもいい加減にしろ!お前はそもそも生まれるべき存在ではなかったんだ!」
そのとき、部屋を出てこちらに走ってやってくる遥の気配を察知しました。まずい、遥を例えかすり傷でも傷つけるわけにはいきません。その前にこいつらを殺します。
(戦闘モード、執行します。)
「雨依…!」
「僕と遥の時間をこのように邪魔されるのは困ります」
「う…っ…体が、動かない…っ?」
(さようなら)
「ぐは…っっ」
(敵らしき男3名の意識の途絶えを確認。戦闘モード、解除します。)
「雨依…っ、お前っ…」
「遥、危ないです。部屋に居てくだされば良かったものを、どうして来たんですか」
すると、遥は僕を見て瞳をゆらゆらと揺らしている様子です。
「雨依…」
「はい、遥」
「…もうこんなふうに人を殺してはいけない」
遥の話に僕は瞳を瞬かせました。
「何故ですか?彼らは僕達にとって敵である存在です。彼らは僕を殺そうとしていました。僕は正当防衛をしたまでです。」
遥は僕を見て暗い表情をしています。…何故、そのような顔をするのですか?遥。
「これは正当防衛じゃない。何があろうと、人を殺してはいけない。殺しては、いけないんだ」
繰り返し遥は僕に言い聞かせるように言いました。
「次もしこのようなことがあっても…決して殺すようなことはするな。…いいな、雨依」
遥はそっと僕の腕の服の裾を握りながら言いました。
僕は答えました。
「はい。遥」
貴方が、…そう言うのならー。
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