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ご案内
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俺がこの番プロジェクト委員会の案内を受け取ったのは、会員名簿に登録してから十年の月日が流れていた。
登録が可能になる高校卒業式当日、Ωの幼馴染と一緒に明るい未来への期待に胸を膨らませて申し込んだのだ。
初めの一年こそ、毎日毎日案内がいつ届くかとポストを開けるのを楽しみに、大学で誘われた合コンにもサークル活動にも参加せず、アルバイトの日も必ず家に寄ってから向かうほど期待に胸を昂ぶらせていた。
が
一緒に登録した幼馴染も、大学で知り合ったΩ友達も、次々と『お迎え案内』とΩが待ちわびるこの案内状を手に顔合わせに向かって続々とお付き合いからの結婚からの出産。
毎年幸せいっぱいな年賀状が届くのに、自分の年賀状は無料イラストと簡素な挨拶の組み合わせ。
すっかりやさぐれて行き遅れた俺は、ここに登録していたことすら記憶の片隅に閉じ込めて封印していた。
「なんだっけ⋯?」
振り返ると、あれだけ待ちわびていたのに⋯と自分でも驚くほど封筒をポストから出したときは冷静だった。
期待して傷付いてきた分、本気で忘れていたのだと思う。
ハサミでチョキチョキ開けてから、案内文を読んでいたときも比較的落ち着いていた。
今日の夕飯は何にしようかなぁとか、他のことを考えつつ足は冷蔵庫に向かっていた。
でも、段々内容を理解するうちに、「どうか優しいαと繋がりますように」と頬を染めて登録シートを書き込んだあのときの気持ちが蘇ってからはもうダメだった。
腰を抜かしてガタンとその場に尻もち。
打った痛みなんてまるで感じず、ブワァッと身体が興奮して熱を帯び、声にならない絶叫と共に案内をクシャクシャにして胸に抱き締めていた。
番プロジェクトは、遺伝子情報からαとΩの最高の組み合わせを弾き出しその二人の縁を繋ぐ国政プロジェクト。
恋愛を楽しみ番を作るΩもいるけど、それだと万一番を解除されたときのリスクが高い。
その点、このプロジェクトに登録しているαは、国から解除を固く禁じられているので安心だ。
身元の保証も勿論しっかりされている。
慎重なΩには、本当に有り難いこのプロジェクト。
ただ、遺伝子情報の組み合わせで弾き出される相手の数もそれに有する時間もバラバラとは聞いていたんだけど。
まさか、まさか十年も待たされるなんて思って⋯⋯いや、嬉しい、嬉しい、嬉しーーーーーいっ
嬉しいが勝ぁーーーーーつっっ
仕事も忙しいし、出会いもない。
いや、出会いはあったにはあったけど、αだとやっぱり保険の無い番になるのが怖くて無理で、告白されて付き合ったβ男性とは自然消滅。
この二年は、誰とも付き合えてなかったんだ。
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