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水の呪い18にしおりをはさみました!
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水の呪い18
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グレイとしては、事前に説明しろという意味で言ったつもりだったが、主に説明する気はなさそうなので、大人しく彼を見守ることにする。実際、今回のように難しいことをする際のレクシリアの魔法の使い方は割と独特なので、精霊の姿を見ることができないグレイでも、ある程度何が起こっているかは把握できるだろう。
「地霊、俺が付与できる中で一番強力なやつを矢に付与してくれ」
彼がそう言うや否や、銀の矢が橙色に染まり、輝きを放つ。
「おお、良いぞ。次は、火霊。薄皮一枚分、地霊魔法に被せろ。違ぇよそうじゃない。張り切ってるのは判ったから、もう少し火力落とせ。薄皮一枚分って言っただろ? 風霊魔法を殺さないくらい弱く、けど地霊魔法を守れる程度に強く。判るな?」
レクシリアの声に合わせ、矢の周囲を炎色に光る薄い膜が覆った。それを見て、レクシリアが柔らかく微笑む。
「よーし、良い子だ。やればできるじゃあねぇか。その調子で、風霊の様子に合わせて微調整するんだぞ。地霊魔法が解けたら台無しだからな。あとは、……そうだな、一応これにも“|虚影の膜《ミラージュ》”掛けとくか。火霊、水霊、頼んだ。ただし、ロストが視認できるあたりで幻惑魔法は解除してくれ。……なに? 嫌だ? あー、水霊のお嬢さん方があいつのこと大嫌いなのは知ってるが、俺のためだと思って頼まれてくれよ。な?」
少しだけ困った顔をしたレクシリアに、恐らく水霊が渋々ながらも了承してくれたのだろう。暫しの沈黙の後、再び笑顔を浮かべたレクシリアが礼を言うと、矢が蜃気楼のように掻き消えて見えなくなった。
「よっしゃ、それじゃあ風霊、最後はお前らだ。座標の位置は把握してるな? 可能な限りこっちで角度と向きは調整するから、矢の加速と飛距離、最終的な到達地点の微調整は任せた。初速は落とせよ。城壁をぶっ壊す訳にはいかねぇから。ああ、頼りにしてるぞ。それから、矢を放つと同時にロストにそのことを伝えてくれ。ん? そうだな。それじゃあ矢の倍速で頼む。それも含めて教えてやれば、後は向こうで判断するさ」
水霊に少々ゴネられた以外には特に滞ることなく、なんでもないことのように複雑な指示を出していったレクシリアに、グレイは途中から感心を通り越して呆れ果てた顔をしていたが、レクシリアがそれに気づいた様子はない。
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