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助け舟にしおりをはさみました!
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助け舟
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それだけで、キャーキャーとはしゃぐ先輩たち。
蛍汰の話きいてるのかな。
「あ、あの。私隣のクラスの佐倉っていうんですけど..っ」
「あ、ずるい!私ここに入学する前から結城くんのこと好きで...」
「ちょっと!二人とも抜け駆けしないでよ!」
やっぱり蛍汰の話聞いてないみたい。
さっきまでの怖い彼女たちが嘘みたいだ。
恥ずかしそうに微笑む先輩たちは随分と可愛らしい声でしゃべる。
しかし、そんな彼女たちにも蛍汰は容赦がない。
「そんなことどうでもいいからさ、帰ってくれないかな。今すぐに」
「っ」
「...っ」
「...」
幸せそうにはしゃぐ3人を一瞬で黙らせてしまうほど、笑みの消えた蛍汰は怖かった。
「ご、ごめん。...じゃあねっ」
ヒクヒクと頬を引きつらせながら、彼女たちは逃げるように去っていった。
途端に静まる場の空気。
(..なんか余計に気まずくなったんだけど!)
何か喋ったほうがいいんだろうかと頭を悩ませていると、
「大丈夫?」
と頭上から声がかかる。
「あ、うん。全然大丈夫」
ははははと笑って誤魔化すけど、蛍汰には通じなさそうでこわい。
「あの子たちが言ってたこと、気にしないでね」
「え、うん」
それは、特に気にしてないというか。
だって引っ越すなんて無理な話だし、俺は好きで蛍汰と同室になったわけじゃないし。
どうしようもないことだって思ってるんだけど。
蛍汰がすごく人気なのは分かっていたけど、こんなに思われてるんだなって、じんわりと実感してしまった。
「優真...?」
「ん?」
「家、帰ろっか」
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