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白川くんについてにしおりをはさみました!
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白川くんについて
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白川光也くん。
彼の名前です。
転入してきた彼は、バスケ部に入って来ました。
そして、一軍へとすぐに昇格しました。
明るく元気で、責任感も強い彼は、人望厚く、みんなに人気でした。
でも、僕はなんとなく、彼の笑顔に嘘臭さを感じていました。
彼の笑みには、なにもなくて、言うなれば風のような感じです。
掴みどころのない、あっさり過ぎ去る風のように思えたのです。
放課後、掃除当番で僕と白川くんはゴミ捨てをしていました。
そのとき、白川くんは僕のことを、
「影が薄いけど、すごい才能だよね」
と、褒めてくれました。
僕は「赤司くんのおかげですから」と返しましたが、彼は笑います。
その笑みはまた、仮面のような嘘臭さを漂わせました。
そして、僕は言ってしまったのです。
「なぜ、無理に笑っているのですか?」
「え?」
「いつもいつも思っていましたが、なんでそんな仮面のような顔で笑うのですか? 君はまるで掴みどころのない風のようです」
その言葉に、彼の顔は歪みました。
歪んで歪んで歪んで。
笑いました。
仮面のような笑みではなく、
本当の、心の底からの笑み。
凶悪な、彼の真の笑み。
「前から、ムカついてはいたんだ。僕を好きにならないからさ。けど、今日で確定した。おまえ、ぶっ潰す」
それから、いじめが始まった。
最初は、レギュラーを外された。
白川くんが、監督や先生に言ったのだ。
「黒子くんに脅されてレギュラーに選ばれないように力を加減していました」
最初は先生方も信じなかった。
けれど、次の日に白川くんは怪我をしてきた。
「黒子くんにやられたんだ」と言って。
さらに、「黒子くんの他に数人仲間がいた」と白川くんは言った。
そして、僕があまり関わりあったことのない人間が数人、「黒子くんと一緒に白川くんをいじめました」と供述したらしい。
僕はいくらやっていないと言っても、さすがに信じてもらえなかった。
でも、そのときはまだ、キセキの皆さんは信じていてくれた。
けれどそれも、一瞬だった。
キセキと白川くんのバッシュや制服、体操着が、切り刻まれていた。
そして、白川くんは僕の仕業だと言った。
さらに、それを切り刻んだであろうハサミと共に、僕のケータイにメモした覚えのないものがメモされていた。
その内容は、いままでのことを面白おかしく書いたものだった。
『白川くん、よくもバラしてくれましたよ。おかげで先生に疑われたじゃないですか。ちゃんと痛めつけないとですね』
『キセキも馬鹿ですね。僕のことを信じるなんて。あぁーあ、白川くん可哀想に。誰にも信じてもらえないなんて、滑稽ですね』
他にも、そういう文章がいくつも出てきました。
まさか、こんな用意周到とは思いませんでした。
当然、僕はみんなに嫌われ、イジメられました。
痛い思いを、いっぱいしました。
けれど、気づいたことがあります。
白川くんは、なぜか僕を傷つけるとき、泣きそうな顔をするのです。
悲しそうな、辛そうな顔をしているのです。
どうしてなんでしょう。
わからないけど、彼を助けてあげれたらと思います。
どうしたら、助けられる?
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