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守02にしおりをはさみました!
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守02
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守を見つめながら、高田は柔らかに表情をゆるめた。
「守、そういう風に笑えるようになったんだな」
「え?」
「俺と一緒にいるとき、いつも守は、泣くのを我慢するような顔をしていたから」
「それは、その、どういう顔をすれば良いのか、分からなくて……でも、本当に、嬉しかったんだよ!?」
焦った様子で、昔にしていたような口調で、昔の自分の気持ちを伝えてくる守に、高田は笑いかけて、頷いた。
「分かっているよ。たださ、お前が、そういう風に笑えるようになった人と出会えたっていうのが、嬉しいんだ」
「……てるおにいちゃん」
「今日、何か食べに行くか? 奢らせてもらうぞ?」
結果的に、上司の思惑通りになってしまったが、今はその思惑がありがたかった。
「あの、だったら、てるおにいちゃんのオムライスが食べたい!」
「え? そんなので、良いのか?」
「そんなのなんてものじゃないよ! 僕にとって、すごく大事なものなのなんだ」
「分かった。それじゃあ、今日は泊まって行くか?」
「え、あ、……うん!」
答えた後で、守は、高田から視線を逸らしながら、尋ねてきた。
「……まだ、あの家に住んでいるの?」
「いや、今は、親戚が住んでいるんだ。俺はマンションで一人暮らしだ」
「……そう、なんだ」
聞いた後で、肩を落とした様子の守に、今度は高田が訪ねる。
「あの家に、行きたかったか?」
「ううん……いや、うん」
遠慮がちに高田の言葉を否定した後、守はそれを否定した。
あの家で過ごした時間は、守にとって本当に大切で、幸せなものだったからだ。
できることなら、またあそこへ帰りたいと思うほどに。
その気持ちを高田も察していた。
できることであれば、光彦も、家族と暮らした家を手放したくはなかった。
しかし、母亡き後、父方の親戚たちに、まだ成人をしていなかった若い光彦が、一人で一軒家に住むのは、管理が大変だろうから、自分たちが管理をしてやろうと、家にやってきて住みつかれ、高田が警察学校に入学し、寮へ入ることになると、高田は完全に自分の実家を追い出されてしまった。
「そうか、ごめんな」
「ううん。あのさ、てるおにいちゃん。あの家に帰れない代わりに……」
申し訳なさそうに謝る光彦に、守は遠慮がちに言う。
「うん?」
「手をつないで、もらっても、良い?」
「え?」
守から想像していなかった頼みを受け、光彦が間の抜けた声をあげる。
すると、守は悲しげに顔を伏せてみせた。
「やっぱり、だめだよね? もう大人だし、なんか、てるおにいちゃんにまた会えて、こうやって道を歩いていたら、昔に戻ったみたいで、懐かしくてつい……」
「ごめんね。変なこと言って……」と、いう守の言葉を受け、ると、光彦は表情を真剣なものに変えた。
「ちょっと、待ってくれ……」
そして、周りを見まわし、人影がいないことを確認すると、守の手をとり、その上に脱いだ自分の上着を被せた。
「これでも、良いか?」
「うん……!」
「今日、だけだからな」
「うん、ありがとう……」
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