アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
20にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
20
-
タオが言うだけ言って去った後、勿論オレは、ミーハの質問攻めにあった。
「銀って、なんで?」
って。
何とか誤魔化そうとしたんだけどダメで、結局、プレゼント用意しようとしてたこと、白状させられちまった。
内緒にして驚かせようと思ってたのに、台無しだ。くそ。
「お、オレに、ルビーくれる、の?」
大きな目を更に大きく見開いて、ミーハは信じらんねぇとでも言うような顔をした。
「おー、まあな」
照れくせーけど、キッパリとそううなずいてやったら、ミーハの白い顔が真っ赤に染まる。
「うれ、しい!」
恋人にそう言って抱き付かれたら、もう張り切るしかねーかも。
「おいおい、まだ早ぇーぞ。まず銀な」
はは、と苦笑しながら、ミーハの背中をとんとん叩く。
それを合図に腕を緩め、抱き付くのをやめた恋人は――初めて、自分からオレにキスしてくれた。
ちゅっ、って。
何だそれ、どんだけ嬉しーんだ、っつの。
たかがアクセサリー1つ、しかもまだ銀が手に入ってねーのに。
その喜びようがあんまり可愛かったんで、オレはミーハをそのまま抱き上げ、ベッドの上に連れ込んだ。
手際よく服を剥ぎ、白い肌に遠慮なく強くキスして、赤い所有印を散らす。
まるでルビーだな、と思ったんで、今度は鎖骨の辺りにも1つ。
「なあ、ペンダントとブレスレット、どっち欲しい?」
平らな胸を押し撫でながら耳元で訊くと、ミーハは「え、らべ、ないっ」っつって、びくんと腰を揺らした。
全く、気持ちイイことには素直だよな。
ホントは「どっちも」って言いてーんだろうけど、こういうところは遠慮深い。
マジ、可愛いと思う。
「ミーハ……」
オレはいつものように恋人の全身にキスをして、そんで最後の仕上げに、左の手首の内側に、ことさらくっきりの跡を付けた。
ルビーの代わりだ。
「本物ができるまで、毎日付けてやっから」
手首にも、そして鎖骨にも。
冗談半分でそう言うと、ミーハは真っ赤な顔で、ふひっと笑った。
山道を馬に乗ってゆっくりと登ると、その内地面に石がたくさん混じりだし、やがて石だらけの道になった。
高地だ。
辺り一面、白っぽい岩や石がゴロゴロしてる。その分、木は少なくて低い。
「銀鉱石はなー、もうちょっと奥行かねーとねーだろーな」
馬から降りて手綱を引きながら、タオがのんびりと言った。
そりゃ、こんな手前で見つかりゃ、世話ねーけどさ。
「もっと奥って。大丈夫なんだろうな?」
オレの問いに、タオはスゲー軽い口調で「だーいじょうぶだって」つってニヤッと笑う。
天才剣士だっつのに……その笑いの安心感のなさは何なんだろう。
「ハイランダーウルフは、どっちかってーと夜行性だからさー」
って。その「どっちかってーと」がもう怪しい。
けど、ここまで来て、怪しいからって引き返すなんてできねーし。
オレはミーハをハマー(馬)の背に乗せたまま、タオと同様、降りて手綱を引き始めた。
ミーハは高いところから周りを見回し、いつでも呪文が言えるように杖を構えてる。
「そーんな緊張しなくても大丈夫だって」
タオはオレらを見て苦笑してっけど、ミーハはともかくオレなんか初めての高地な訳だし。緊張したって仕方ねーだろ。
それにミーハだって……『治癒』使った時に、ハイランダーウルフのことを思い出しただけで、それがどこの高地だったかとかさっぱり覚えてねーっつーし。
しばらくそうやって油断なく歩いてると、岩場の奥に、古いたき火の跡があった。
「あれ、たき火……?」
木の燃えカスや炭なんかは全く残ってねーけど、石の並べ方を見ると、モロたき火って感じだ。
そんなに大人数で囲ってねーのかな? 規模が小せぇ。せいぜい2~3人ってとこか。
「ほーらな、安全な証拠だろ」
確かにタオの言う通り、2人とか3人とか、こんな少数でキャンプしたってことは、この辺は安全だって事だ。
いや、タオの安全基準とオレらの安全基準ってかなり違うと思うけど……でも、タオみてーに腕の立つやつが、そうそう何人も集まる訳じゃねーし。
「ホントだな、安全か」
感心したように呟き、オレはちらっとミーハを見た。ミーハは馬上で首をかしげてる。
「ミーハ? どうした?」
オレが声を掛けると、ミーハは「う、ん」とうなずいて、でもやっぱ首をかしげて、それからハマー(馬)の背中から滑り降りた。
「何か思い出したんか?」
オレの問いにも答えず、ミーハはその古いたき火跡の前に立って――顔を上げ、ぐるっと周りを見回してる。
覚えがあるんだろうか? 「前」の時に誰かと来た?
「試しに、そこで『水球』使って見ろよ」
オレは、アゴで古いたき火跡を指して言った。
火系のデカい技なら要注意だけど、『水球』はそんな威力のある技じゃねーし。たき火を消す時に使ってたんなら、なんか思い出すかも知んねぇ。
ミーハはこくんとうなずき、杖を構えた。
「ウォーターボール!」
パシャッ。
古いたき火跡の残された石の真ん中に、魔法の水球が弾けて割れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 102