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第9章 For You １にしおりをはさみました!
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第9章 For You １
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これまで自己流で、好き勝手に踊っていた俺に、翔真が紹介してくれたプロダンサーの坂口は、そりゃもう厳しくて……
流石の俺も、何度逃げ出そうと思ったか分からない。
でも基礎から徹底的に叩き込まれたおかげか、俺のダンスに対する意識にも、ほんの少しだけど変化が出てきたのは事実で……
それまで自分を満たすためだけにしか踊って来なかったダンスを、初めて誰かのために踊ってみたい、そう思うようになっていた。
最初に思い浮かべたのは潤一だった。
でも潤一はもうこの世にはいない。
俺がどれだけ強く願ったところで、潤一が俺のステージを見てくれる筈もない。
じゃあ俺は誰のために踊ればいい……？
そう思った時、俺の頭に浮かんだのは、やっぱり翔真だった。
俺が未だに心の奥底に潤一への想いを抱えていることを知りながら、それでも翔真は俺を愛してると言う。
翔真くらい学歴もあって、顔も良くて、おまけにボンボンとくりゃ、言い寄って来る奴は、男も女も少なくはないだろうに、なんで俺みたいな、どうしようもない男に執着すんのか、俺にはさっぱり分かんねぇけど……
俺は翔のためだけに踊ることを決めた。
恐らく俺にとっても、そして翔真にとっても特別なステージになるだろうから……
坂口はそんな俺の想いを聞き入れ、忙しい仕事の合間を縫って、新しいプログラムを考えてくれた。
勿論、俺の意見も取り入れながら。
そのための衣装だって、健太に頼み込んで用意して貰った。
リニューアルオープンのステージに向けての準備は、全て完璧に整った……筈だった。
オープン前夜、バスルームの鏡に映った自分の身体を見るまでは……
この身体を、男達がどんな目で見ているのか……、それを考えたら得体の知れない恐怖が俺を襲った。
セックスの対象として見ていることなんて、最初っから分かり切ってることなのに……
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