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ー友情ー12にしおりをはさみました!
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ー友情ー12
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今までまともに望の顔を見れてなかった桜井なのだが、急に望の事を真剣な瞳で見上げ、
「あの、そのな……ホンマ、嫌やったらええねんけどな……。 俺な……先生に会った時から先生の事が……好きになってしまってたんや……。 ホンマのホンマで先生の事一目惚れやったっていうんか……。 まぁ、ほんで、さっき先生が俺の事、怒ってくれたやろ? それで、余計にっていうのかなんていうんかな? まーーなんていうんか……そのな……俺と付き合ってくれたらって…な…」
その雄介の言葉に望は少し考えた後に、
「あ、え? その……俺は女じゃねぇんだけど……」
普通に考えて、男に告白されたなら、そういう風に答えるのは当たり前だろう。
「好きになったら、男性も女性もないと思うんやけどな……?」
「あ、そうか! まぁ、た、確かに君の言う通りだよね……。 だけど、やっぱ、その俺にだってそのなんていうのかな? 人を選ぶ権利みたいなのはある訳で……だから、その直ぐにはオッケーは出せないっていうのかな? だから、その……少し考える時間をくれないか?」
望は突然、桜井から告白をされ戸惑いながらもとりあえず傷つけないように言葉を選んで返す。
「って、事は少しは……俺に気があったりするんか?」
「いや、悪いのだけど、そこはまだ俺にはそういった感情は無いに等しい位だ。 でも、桜井さんの俺に対する本気度というのは伝わってきた。 だから、俺だって、俺の事を好きに思う気持ちの人は男だろうと女だろうと差別はしたくはない。 でも、人なのだからこう色々な性格や人種の人はいる。 だから、相手の事を好きになる権利は誰にでもあると思うんだ……そう、とりあえず、今は、最終的に俺が桜井さんへ気持ちが向けばいいって話なんじゃねぇのかな? それに、いきなり告白されても俺の方は君の事よく分かってないしさ……。 だから、もっと君の事を知ってからの方がいいかな? って思ったんだけど……」
「あ、まぁ……確かに先生の言う通りやな……。 とりあえず、足止めしてもうてスマンかった……」
そう言葉と同時に桜井は本当に申し訳なさそうに思ったのか望に向かって頭を下げる。
「もう、俺の方は先生に告白出来て、スッキリしたんでええですよ……。 後は俺の問題ですしね……」
そう言うと桜井は布団の中へと潜り込んでしまうのだ。
そうだ、急に望に向かって、告白をしてしまったのだから、まだ自分の心の中はこう色々な感情が入り混じってしまっているかもしれない。 それに望からの告白の返事は曖昧なままだ。
ダメでもない。 いいとも言わなかった。 本当に曖昧な答え。
そんなまだ複雑な気持ちのままなのだから、しょげる事も喜ぶ事も出来ない。 だから、布団へと潜るという行動をしたのであろう。 色々な意味で今の雄介は反省中なのかもしれない。
「はい、では……失礼しますね……」
そう言って望は桜井の病室を静かに出て行く。
しかし、まさか、自分が男に告白されるなんて思っても見なかった事だ。 だけど、あんなに真剣に言われたら例え告白してきたのが男性でも直ぐに断る事なんて出来なかったようだ。 いや、望の中でも桜井の事で何かが変わり始めているのかもしれない。
それに男に告白されたら別に男の事が好きではないのだから直ぐにでも断っているところだが、断ってない所をみると、もしかしたら望は桜井に気があるという事なのかもしれない。 いや、今は患者さんなのだから、普通に断ってしまうと精神的にも体力的ににもやられている患者さんを弱気にさせてしまうのだから、今は断らないようにしたのかもしれないのだが。 しかし、望は桜井と初めて会った時にはあんなに桜井の事は嫌いと言っていたのに今ではそう曖昧に答えたのだから少なくとも嫌いではなくなったのであろう。
それに、男性が男性に告白するなんて事は男性が女性に告白する以上に勇気がいる事だ。 なのに、桜井は望に告白をしてきたのだから、桜井の場合には本当に望の事が好きになったとしか思えない。 しかも、男性に告白をするなんて事、本当に本当に悩んでからなのだからその気持ちも汲みたいという所だろう。
そう思うと、望の中で直ぐに断るなんて事は出来なかったのかもしれない。
そして、病室を出た直後に望の視線に入って来たのは和也だ。
「……って、お前、部屋に戻ってたんじゃねぇのか?」
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