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サナギにしおりをはさみました!
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サナギ
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「お前、"ちょうちょ"より"サナギ"の方が似合っているよな!アハハッ」
子供の頃、クラスメイトが放った何気ない一言。
悪意のない他愛無い一言。
それが、僕ー深山 揚羽(ミヤマ アゲハ)が【サナギ】と呼ばれる理由だ。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「ねぇ、サナギくん。お姉さんが居る日にサナギくんの家に遊びにいってもいい?」
「ごめんなさい。姉は家を出て一人暮らししてるので無理です」
「じゃあ、帰ってくる日、教えてよ」
「僕は聞いてないから知らない」
お弁当を広げようとした僕の席に来た女子から逃げるように席を立って教室を出た。
「何よっ、サナギのくせに」
教室を出る時に大声で叫ばれたけど、無視した。
僕の家は、会社員の父と元舞台女優の母、モデルの姉と僕の4人家族だ。
姉は16歳の時からモデルとして活動を始め、現在はタレントとして少しずつテレビに出るようになった。
高校に入学した直後から、僕の家族のことをどこからか聞きつけた女子がよく僕に声をかけてくる。
【サナギ】というあだ名も一緒に。
校舎裏の人気のない場所に移動して、座り込んだ膝の上に持ってきた2段のお弁当箱を開ける。
「これじゃあ広げて食べれないな……。明日からしばらく、おにぎりだけにしてもらおう……」
上段のおかずだけを食べた後、下段のご飯を食べる。
「あっ、あっ、そこっ……ぁああっ、もっとぉ強くぅ」
「んぐっ」
頭上から突然聞こえてきた声、それも喘ぎ声に僕は口に入れたばかりのご飯を喉に詰まらせた。
ドンドンと胸を叩いてご飯を飲み込もうとするけど、塊となったご飯はなかなか喉を通り抜けてくれない。
足元を探るがお茶はなく、慌てて教室を出たときに忘れたことを思い出す。
膝から落ちた弁当箱に構う余裕もなく、苦しくて情けなくて、涙目で蹲る。
「ほら、お茶」
そんな僕の耳にその声が届いた。
目だけを向けると、キャップの開いたペットボトルのお茶が目に入った。
声の主は手を伸ばす僕の手にお茶をしっかりと持たせてくれた。
ペットボトルに口を付け一気に煽る。
流し込んだお茶と共に喉に詰まっていたご飯が解れて流されていった。
そのままゴクゴクと半分近くまで飲んだらやっと落ち着いた。
「おーい、大丈夫かぁ?」
「はい、ありがとう、ござぃーーブハッ……ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ…」
振り返った僕は、今度は咽せた。
「お、おい」
お茶をくれた人が僕の傍に来て背中をさすってくれた。
「ケホッ、ケホッ……ありがとうございます」
「いいよ。喉を詰まらせたのも、咽せたのも俺が原因だろ?」
そこでやっと顔を見ることが出来た。
「はい、そうです」
ボタンが全て外されシャツが肌けた上、スラックスの前が開いたまま笑いかける男に僕は遠慮なくそう答えた。
「いやぁ、人が来たから相手に声抑えるように言ったんだけど、夢中になっちゃったみたいでさ……ごめんねー」
男は手を合わせて首を傾げながら謝罪する。
ガラガラ……ピシャ
教室を出て行く音が中から聞こえて、男と僕は後のした方を振り返る。
「あーあ、逃げられちゃった」
「あ、あの、すみません」
咄嗟に謝ってしまった。
「いーよいーよ。あ、残りのお茶飲んでいい?」
「え、あ、はい」
残り三分の一を飲む男を横目にブレザーのポケットからティッシュを取り出して、落ちたご飯を拾った。
土に塗れたご飯は勿体無いけど諦めよう。
小さくため息をつく。
「あ、俺にもティッシュちょーだい」
「あー、はいいっ⁈」
ティッシュを1枚取り出して渡そうとした僕は衝撃を受けた。
男はボクサーパンツに手を突っ込んで、丸めたゴムを取り出した。
「はー、まだ出てないのに勿体ない」
そう言いながら、ゴムをティッシュで包んだ。
それが、衛(マモル)という男との出会いだった。
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