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なぁ、ずっとダチでおってやにしおりをはさみました!
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なぁ、ずっとダチでおってや
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「あ、サスケや」
「あ?」
見たらそこにはリラックマ。
べたぁと寝そべって、ほんまに寝てた。
なん、可愛いし。
「アレ狙お。ごっつ欲しいわ、サスケみたい」
「どこが?」
「ふにゃってなってるとこ。踏み潰したなる」
「ふみ…っ、?」
何やねん。
サンドバック代わりにでもしたいんか。
嫌われてんの俺…。
「ウソやし。取ったらやるわ。分身大事にしや」
「いらん」
二人で行ったゲーセン。
UFOキャッチャーの前で足を止めて、そんな会話してたらまんまとゲット。
しかも一発やった。
すげぇ。
「ん、やろ」
やめてや。
俺の家宝んなってまう。
千里が取ったリラックマの人形。
ずいっと渡されて渋々手に取った。
なんや、ホンマに可愛いクマやなぁとかまじまじ見てたら、千里からいきなり不躾な質問。
「サスケ、ほんまに彼女とかおらんの」
「ん、いらんし」
「何で?」
「いらんから」
彼女とか欲しない。
てか付き合った事とかないねん俺。
初恋は確か幼稚園の時。
相手はやっぱり男やった。
基本からもうアレやねんな。
どっかおかしいんよ。
こんなん俺だけちゃうんとか。
たまに本気でイヤになる事もあった。
「サスケな、気に入ってるダチがおるん。会うだけでもムリ?」
言葉に詰まった。
よくある話し。
そんなん千里に女の世話とかされたない。
好きなヤツに他のヤツと付き合えとか。
鬼やろ。
アカン。
泣く。
「サスケ?」
「お、れ…、ごめん。会う気ない…」
「ん、わかった。言うとくわ」
「……ごめんな」
「何で謝るん。サスケはなんも悪ないやん」
せやけど。
ごめん。
お前の事好きでごめん。
俺友達失格や。
「俺な、」
「ん?」
「好きなヤツおんねん」
うるさい雑音に紛れて呟いた言葉。
当然千里には届かんかった。
聞き返して来るその耳元に、俺は…。
俺は。
「なん?聞こえん」
「何もないっ!」
あぶなっ。
何血迷った事言おうとしてんの。
いくら苦しても、これだけは絶対ゆうたらアカン。
不愉快になるんは千里。
傷付くんは俺だけやない。
自分勝手な告白は許されへんのよ。
これは普通の恋愛とちゃうから。
そんな権利は、俺にはないねんから。
「俺、帰るわ…」
「は?まだ来たばっかやん」
「用事思い出した」
俯いたまま千里の顔が見れん。
泣きそうに緩む視界が鬱陶しい。
ちくちく痛む心が、邪魔でしかたなかった。
「あかんよ。今日は俺と遊ぶ約束したやろ。帰さんし」
「ごめん…」
「許さん」
とりあえずうるさいから出ようって、千里に引っ張られるまま外へ出た。
ぶらぶら歩いて、足を止めたんは静かな公園の前。
中を見るとたこ焼きの屋台が目に入って、次に食欲を誘うようないい匂いが鼻を掠めた。
「食う?」
「え、いらんよ」
「そうなん?てっきり腹減ってるから元気ないんやと思てた」
「俺どんだけ食いしん坊やねん」
「用事てそやでかなと」
「アホちゃう。そんなら正直に腹減ったから帰ろゆうしな。初デートでトイレ我慢する女ちゃうねんから」
「じゃ何で?」
「は?」
「用事とか、嘘?」
「う、嘘ちゃうよ」
「はいどもった。待って。俺なんかした?」
ずいっとのぞき込んで来る千里に目の行き場を失う。
それはもらったリラックマへと自然に行き着いた。
やっぱ可愛いねんなコレ。
てちゃうし。
「サスケ?」
「や、やで、用事は用事や。お前に言えん事くらいなんぼでもある」
「遊ぶんイヤやった?」
「ちゃうし」
「嫌われてんの俺」
「ちゃうて」
「うわ、へこむ…」
「ちゃうゆうとるやろ!嫌いなわけあらへん!!とっ、もだち…やろ…」
「何でそこで尻すぼみんなるかな」
トモダチ。
せや、俺と千里はそれ以上にはなれん。
けど、それ以下になってまう可能性はあるん。
イヤや。
トモダチ以下になってまうくらいやったら、一生こんままでえぇ。
「今さっき用事なくなったわ」
「は、なんやねんそれ」
「まぁ色々あるんよ俺も。なぁ、ずっとダチでおってや」
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