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こんな勝手な想いなんかいつでも捨てれんねんにしおりをはさみました!
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こんな勝手な想いなんかいつでも捨てれんねん
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寝る前にいっぱい祈った。
こんなに縋るように祈ったんは、小学校ん時以来やと思う。
走る事が大嫌いやった俺は、マラソン大会の前日にフレフレ坊主とかわけわからんもんまで作って、寝に落ちる寸前までお天気の神様に祈ってた。
そんなんおらんのに、必死で雨ふらしてくださいゆうてな。
けどあかんかった。
見事に晴れよって。
脱力感から来る怒りの矛先はゆうまでもなく自作のフレフレ坊主や。
今思たらかわいそうな事してんな。
逆さに吊られた上に窓からポイや。
泣きながら大会出た。
あん時よりももっと強く祈ってん。
もっといっぱい長い事願った。
明日んなったら千里がもとに戻ってますようにて。
またいつもみたいに遅刻してきて、ほんで、ほんで…。
俺をぎゅうして、俺に怒られて、機嫌直してくれんって、笑てくれますようにって。
祈った。
退学やゆうまちごた情報はどっからきてんやろか。
とりあえずなんや知ってそうなテツに話し聞いてみた。
「土曜に千里から電話あってん。俺多分退学んなるわゆうて、もうガッコいけんて」
「俺んとこもそんな電話来た」
横からケイが携帯いじりながら口を挟む。
「それって土曜日なん?」
「せやで。一方的に切りよって、そっからは何回かけても繋がらんかったわ」
「サスケやったら何や知ってるかな思て電話したけど、お前もあかんかったしな」
そ、それは…。
すんません……。
勝手に落ちてました。
チロッと睨まれて、無言の威圧につい萎縮。
わざと無視ったんバレてんやろか。
「サスケんとこはなかったん?」
「なにが?」
「何がて千里の電話じゃ」
「あー…うん」
土曜はなかった。
けど、テツらが繋がらんようなってまった時に連絡あってんな。
日曜の晩。
無視した事が今また悔やまれる。
何があったか、俺に話してくれようとしてたんかも知れんのに。
あほやな俺。
ほんまに救いようない阿呆や。
「サスケにだけ電話せんて何でやろ」
「一番にしそうやんな」
ゆえんかった。
ホンマは日曜に千里から連絡あったって。
したら、何で出んかったんやゆわれるやん。
勝手やけどな、今はその辺いじられたないから黙っとくわ。
ごめんしてや。
「多分あの先輩絡みやん。やーさんとも繋がりあるらしいで」
「やーさんて…」
「ヤクザや」
「ヤクっ…!?」
ヤクザ。
裏を生きる人。
そんな人らとほんまに関わり持ったんやろか。
先輩に頼まれて、なんやしてしもたんやろか。
あの人には逆らえんってゆうてたん思い出す。
「もうえぇやん。何も理由なしで、ダチやめさしてやゆうアホなんかほっとけ」
「ほうじゃ。ほっとけ」
「あほかっ…、薄情なんはどっちやねん!理由あるからやろ?あるからそんなんゆうんやろが!」
ここで仲ようしてたんはなんやねんな。
お前ら上っ面だけか。
中身なかったんか。
理由あるに決まっとる。
今まで仲良かったんに、そんな態度取らなあかんだ千里が一番辛いんちゃうの。
何でわかったらん?
ちゃんと電話くれたやんけ。お前らにもちゃんと、詫びのそれとちごたんか。
「ほうかほうか、やっぱな」
「な、ビンゴちゃう?」
思わず涙目んなってもうた俺を見て、二人がなんや意味わからん事ゆう。
眉間に寄るシワは、次のテツの言葉で一気に伸びた。
「好きやろ、千里のこと」
「ダチとしてちゃうで?男としてや」
「な…っ、何でそうなんね―」
「ほれ、顔がもう真っ赤」
「見てたらわかんねん。千里もどうせお前が好きやねんろ。くっつけたろ思てたのにな」
「あかんわ、お前キモイとか言いよるで」
あの金曜日の晩が甦る。
なんやねん、コイツらふざけてたんちゃうんか。
ラブラブやんとか、ちゃんと分かっててゆうててんな。
千里はどうか知らん。
けど俺は…。
「お前らわかりにくいねん…。俺、おれっ…あほ、嫌いじゃ…っ」
最近涙腺弱いねん。
千里の事があってから余計に。
二人があんまり似合わんつらで笑うからやな、思わず泣いてもうたやん。
あほ。
けど、ありがとう。
男が好きなんに、お前らは理解してくれんねんな。
薄情とかごめんして。
ほんまは千里の事も心配してんねやろ?
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