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もう俺は、千里を求める事やめれんのにしおりをはさみました!
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もう俺は、千里を求める事やめれんの
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夢見てん。
千里が戻って来てくれた夢。
ごめんなって、ごめんしてやって俺ん事ぎゅうするん。
また泣いてもうて、いつもみたいにイヤがったりせんと俺もしがみついて。
いっぱいいっぱい千里に抱き付いた。
夢やしな、もうゆうてまったんよ。
好きやて、ずっと好きやってんなって。
したら、したら急に千里に突き放されて。
「悪いけど受けれん。もう会わん」
ゆうてまたどっか行きよった。
必死で手ぇ伸ばして遠なってく背中追い掛けた。
これも身長差のせぇかって、全く縮まらん距離に全力で走った。
でも届かんくて。
真っ暗ん中、俺は千里の名前を腹の底から叫んだ。
「サスケ?」
「……テ、ツ、あれ、ここ…」
「ビビるでほんま。いきなり倒れんねんから」
白い壁に白いカーテン。
最初病院かな思たけど、そこは保健室やった。
「倒れた…?」
「安心せぇ、千里一発殴っといた」
殴っといた…て。
「はっ!?なんやねんそれ、何で千里殴るん!」
「我慢きかんかった。お前が倒れてもアイツ、眉一つ動かさんねんもん」
やで腹立って、誰のせぇや思とんやって、殴ってもうたってテツはゆうた。
反射的に浮いた頭を固い枕へ戻す。
大丈夫かって聞くテツに、うまく笑えたか分からんけど、俺は口元を少しだけ歪ませた。
「あんま考え過ぎたらあかんで。アイツの問題やねんからお前がどうこうできる事ちゃうねん」
「わかっとる、けど…、考えんなゆう方がムリや…」
「まぁ、…せやな」
そっから俺もテツも口を閉じた。
テツは俺の気持ち分かってもうたから、多分千里について言いたい事の半分も言えんかったと思う。
組んだ足の上に肘ついて、足先をぶらぶらさして。
かぱかぱするスリッパを見たまんま、ケイがパンを手に入って来るまでその口は固く結ばれて開かれんかった。
分かるんよ、何となく。
ほんまは後悔してんやろ?
俺の気持ち聞き出した事、やめとけばよかったなて、後悔してんやろ?
やっぱりあんなんやめとけって、言いたいんよな。
ごめんなテツ。
もしそう言われたとしてもあかんのよ。
もう俺は、千里を求める事やめれんの。
それは好き嫌い関係なくて、元に戻りたいゆうだけのものやけど。
それすらも、お前はもう気に入らんのやんな。
「お、サスケ起きたん」
「さっきな」
「ビビるわマジで。頭打たんだか?どっか痛ない?」
「ん、大丈夫」
「ほか。んならえぇけど。はい昼メシ」
「ありがと…、お前らは食べたん?」
「食ったでえぇよ。さっきまっつんと擦れ違ったわ。また来るんちゃう」
掛け布団の上にパンとジュースの入った袋を置いてから、ケイは向かいのベッドに腰を降ろした。
丸いイスに座ったテツはまだなんや言いたそうな顔。
気付かんフリして起き上がった。
そん時初めて、なんや握ってる自分の右手に気ぃ付く。
手ぇ開いて、思わず凝視してもうた。
「なん?消しゴムやん」
治まっとった気持ちがまたじわじわと上がって来る。
倒れる瞬間無意識に手にしたんやろか。
そんくらい俺は千里を想てんねやろな。
せっかくチャンスやったんに、逃してもうた。
次はいつ会えるかわからんのに。
何で倒れてん自分。
あほやわほんま。
「千里、もうおらんよな…」
「多分今日は帰ったんちゃう。サスケ倒れてすぐどっか行ってもうたから」
「はっきりゆうてな、俺はあんま賛成できん」
難しい顔でテツが言う。
ケイを見たらケイもそんな顔で。
「こうなるまで千里もサスケが好きや思ててん。けど、なんかちゃうわ」
「俺も思た。今日の態度見て不信感募ったで。ちょっとくらい心配する素振り見せてもえぇんちゃうん」
それこそ薄情な奴や、ゆうて、テツは金色の頭を軽く指先で擦った。
二人の気持ちは有り難い。ほんまにそう思う。
俺がもっと傷付くかも知れんて、心配してくれてんねやろ?
やで諦めろ言いたいんよな。
「理由、ないと思う?」
「さぁ、それは知らん」
「けどほんまに薄情な奴やったら、電話とかせぇへん思うん」
「てかサスケにはなかってんやろ?」
「ん、それな…、ごめん、日曜にあってん」
けど無視った。
ゆうてからちゃんと理由も話した。
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