アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
孤児6 sideキースにしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
孤児6 sideキース
-
赤い屋根が見える。数人の大人達に驚いたようで、仲間は口をぽかんと開けていた。
「おおおお、お貴族様の屋敷で働く!?」
どういうこと!?と3人が詰め寄る。
盗みを働いて、お貴族様の目に留まり買われたなんて言えない。
「皆様には、御屋敷にある庭で働いていただきます。」
「……私でもできますか?」
緑髪のリンカは不安そうにする。俺より年下だが、仲間の中で1番しっかりしている。
「同じ作業の繰り返しなので、簡単です」
3人は納得したようで馬車に乗った。
……大きい。
歩けるまで担がれてたため屋敷を見れなかったが、見上げてみるとお城のよう。
トーアとその弟のチェリは、先程の不安な表現は嘘のように目を輝かせていた。
「ようこそ。キャンベル侯爵家のメイドを担当させていただいております。ローザと申します。
3人の教育係は私が担当させていただきます。
お腹、空いてるでしょう?まずはゆっくりご飯を食べて。」
ローザは使用人達が使っている食堂へ案内すると、見たこともない料理を並べる。
「ふふっ、見たことないって顔してる。この料理は坊ちゃ…ジュード様が考えた料理で、とても美味しいのよ。」
食欲をそそる匂いに、俺達は夢中で手を動かした。
「食べ物は逃げないわ。そんなに早く食べると喉を詰まらせるわよ。」
そう言ってローザはオレンジ色の液体が入ったコップを置く。これは飲み物だろうか。
「オレンジジュースよ。ノア様も大好きなの。」
「あの、ジュード…さまが抱っこしてた?」
「えぇ、そうよ。すごく大切なジュード様の義弟なの。」
ジュースは甘くて、幸せになる味だ。チェリはジュースが気に入ったようで、一気に飲み干す。
「食べながらでいいから、聞いてちょうだい。
ここで働く時の大切なルール。暗黙の了解なんだけどね。
ノア様に危害を加えないこと。子供には難しい言葉よね…えっと、ノア様を虐めない。ノア様に優しくする。
主を裏切らないこと。誰かに脅されても、お金で釣られてもよ。」
「裏切るとどうなるんですか?」
リンカが聞くとローザは怖い顔になる。
「裏切ることはないと思うけど、もし裏切るなら…死んだ方がマシよ?それに、恩を仇で返すなんて人として駄目よ。」
「…はい」
「ここで働けば1日3回美味しいご飯を食べられるし、毎日お風呂に入れるし、休みも週に2日あるし、旅行に行けるし、お給料いいし、死ぬまでここで働いていたいわ。」
「ぼく、やくにたてる?」
トーアは自信がないようで、泣きそうな顔になる。
「今は無理でも大きくなったら、それはそれは大活躍よ!屋敷では勉強する時間もあるし、その時間にできることを見つければいい。」
「勉強できるんですか!?」
勉強という言葉にリンカが食いつく。リンカは昔から字を書けるようになりたいと言っていた。
「そうね。使用人全員ある程度は勉強できるわ。
侯爵家だからね。使用人のマナーや最低限の勉強ができないと、騙されたり、馬鹿にされたりするから。」
完食すると俺達の腹はボンと膨れていた。今まで着ていた服は捨て、案内された場所で入浴する。
「坊主達、細いなぁ。もっと食って大きくなれよ!」
水浴びをするのかと思ったら白い良い匂いの泡に包まれ、護衛をしていた人達に俺、トーア、チェリは洗われる。
「今日だけ洗い方を教えてやる。次からは自分で洗えるようにな。」
「ありがとうございます」
「坊ちゃ…ジュード様のおかげで仕事終わりに汗を流せる。いい匂いだし、よく眠れるぞ。小さい坊主(チェリ)は溺れると危ないから、湯船に浸かる時はキースお前がよく見ておけよ。」
「はい」
「ジュード様には感謝しろよ。他の貴族に拾われてたら、お前死んでただろうし。
お前にとってはお貴族様を信じるなんて難しいことかもしれないが、ここの主は優しくて、平民の俺らにも平等に接してくれる。
まぁ、信じられないのならよく見ておけ。
ジュード様やその父親である御当主様は、、、見た目が怖いかもしれないが、愛情深いぞ。」
ここの人達は優しい。こんな俺らにも、普通に接してくれる。それはここの主人も優しいからだろう。
湯船という湯をためた場所に入ると、体の痛かった場所が和らぐ気がした。水は少しだけ緑色で爽やかな匂いがする。
キースはチェリを膝の上にのせて、溺れないように支えている。
「キース…お前、無茶なことしただろ?」
トーアは先程の話しを聞いていたのだろう。俺はやったことを全て話した。
「……俺達のためにごめんな。もう、無茶はやめてくれ。今度は俺達がキースを助けるよ。」
「……ありがと」
風呂から出ると女湯から合流したリンカと一緒に寮へと向かう。
リンカは風呂が気に入ったらしい。ずっと風呂について語っている。
女にとって匂いは気になるものなのかもしれない。
「あなた達が住む所よ。本当はジテンシャに乗れると良いんだけど、子供だからね。
いつかは乗れるようになった方がいいわ。移動がすごく楽だから。」
ジテンシャとはあの奇妙な乗り物のことだ。外に出ると、使用人のほとんどの人が乗っていた。
「寮の使い方について説明するわ」
寮には沢山の部屋があり、そのうちの広い部屋で俺達4人が暮らすことになる。
トイレなどの使い方を聞くと、今日はゆっくり休むよう言われた。
「ねぇねぇ、ベッドってやつふかふか!!」
「…すごいよな。俺達までこんなの使わせて貰えて。」
リンカはベッドに座ると感触を楽しんでいる。
チェリは眠いようでトーアと共にベットに入った。
「キース、ありがとう。キースの話、ローザさんから聞いたの。私たちのせいでごめんね。キースが辛い思いしてるのに気づかなくてごめんね。」
「俺…皆のこと危険な目に遭わせそうになった。たまたま、良い人に拾われたけど…ごめん。俺、馬鹿で生きるために盗むことしか思いつかなかった」
「いいのよ。私だったら同じことするから。
これからは、一緒に頑張ろう。困ったことがあったら一緒に考えよう。」
「うん」
その日、1人ずつベッドが用意されていたが、4人同じベッドで寝た。
☆☆☆
・リンカ 女の子5歳(キースが住んでいる同じ小屋で育つ。今はキャンベル侯爵家で働いている。)緑髪。
・トーア 男の子 5歳(同上)茶髪。
・チェリ トーアの弟 4歳(同上)茶髪。
今回はすごく長くなってしまった…
いいね・お気に入り、ありがとうございます!励みになります。(作者より)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
64 / 151