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共鳴8にしおりをはさみました!
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共鳴8
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驚いた少年が見つめる先で、信じられないものを見るような目をした王の瞳が揺れている。激しく燃える炎のようにその髪が輝き、毛先から色を変えていく。まるでタガが外れたかのような勢いで変化するその色彩に、少年は思わず王の手を強く握った。何故だかは判らないが、そうしなければいけない気がしたのだ。
普段であればとうに我を忘れて見惚れていただろう少年は、その謎の義務感だけで己を保っていた。
「あ、あの、あなた、お、落ち着いて」
何が落ち着けなんだかは判らなかったが、そう言うのが一番正しいような気がしたので、やはり訳が判らないまま取り敢えず言葉を発する。一方の王は、子供のような顔をしてぱちぱちと瞬きをし、不思議なものを見る目を少年に向けていた。
「ね、落ち着いて、ええっと、そう、深呼吸、して、みる……?」
言われ、王は素直に大きく息を吸って、そして吐き出した。そうすると少しだけ王の輝きが鈍った気がしたので、少年は引き続き深呼吸を勧める。何度かそんなことを続けると、ようやく王の身体から溢れていた輝きが消えたので、少年はほっと息をついた。
あの光はそれはそれは美しいものだったけれど、なんとなくあのままではいけない気がしたのだ。
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