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心の掌握①にしおりをはさみました!
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心の掌握①
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街は暗闇を忘れてギラギラとわざとらしい明かりがひしめいている。
それを避けるように暗がりの路地裏をいけば、まだ食べられそうな残飯が転がっている。
弁当の隅に残った惣菜と固くなった米で、今日をしのぐ。
ガァンッッ
大きな衝撃音がして反射的に後ろに飛び跳ねた。
「おいこら!!ここに寄るな黒猫!!」
店主が箒を振り回しておれを追い払った。
まだ手をつけられる弁当があったのに、おれは仕方なく逃げ出した。
黒猫に居場所はない。
どこにいっても不吉の象徴として蔑まれ、怖がられ、忌み嫌われる。
ただ生きているだけなのに。
それすら、許されない。
雨が冷たく降り注いで、おれの体力を削る。
雨宿りする場所を探す気力もない。
このまま雨の中眠れば、兄のところまで逝けるだろうか-----
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