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孔から一滴、一滴と流れ出ていく。
自分もこれくらいゆっくりと時間をかけてあの禍々しい作品と肩を並べるのだろうか。
「実に美しかったよ。やはり水にはヴィーナスが宿っている。良い作品ができそうだ。続きはまた明日にしよう。」
そう言ってトイレに連れて行ってもらい、先程の部屋に戻りベッドに寝かしつけられる。
目が覚めるとまだ辺りは真っ暗だ。
陽の光がないと時間の感覚がわからない。
陽の光を求めに何の許可もなくエントランスに出て天井の窓から差し込む光を浴びる。山奥だからか木が少し遮ってしまう。窓には落ちた葉がくっついている。
携帯もないし持ち物が一つもない。
脱がされた服も見当たらない。布にくるまって過ごしている。
その場に座り陽の光を眺める。
男は後ろから声をかけてくる。
「…そんなところで何をしているんだい?」
k「ひ、陽の光を浴びたくて…つい…」
「はは…面白い子だな….。」
こうしていると普通の人だが、夜と朝では人格が変わるのだろうか。
男は食卓のある部屋に入りすぐ戻ってきた。
ボーッと天井の窓を見ていると滝のように水が降ってきて驚く。
k「ぎゃっ、え?!」
「あ、すまない。そのまま光を見続けてくれないか。」
k「え、えぇ…。」
急な行動に驚きを隠せない。
戸惑いながらも再び天井窓を仰ぎ見る。
ぶつぶつと男は独り言を言っている。
「やはり水だ。彼には水が必要だ。」
光に照らされ、滴る水が重力に従い光を反射しながら落ちていく。
目尻が痒くてかくと手に黒いインクのようなものがついた。昨夜塗られたアイラインの残りだ。
寝ている間に落ちたと思っていたが意外と残っている。
「さぁ、食事にしよう。今日は落ち着いて食べようじゃないか。」
食卓に招かれびしょ濡れのまま向かう。
風邪をひいてしまいそうだったが部屋の中は暖かい暖炉があった。
そういえば電気がまともにつかない部屋とつく部屋がある。昨日散策した部屋はペンライトを頼りにしていたので電気は付けなかったが、食卓はしっかりと電気がついている。
なんて歪な空間なんだ。
古い屋敷かと思えばキッチンは新しい。
木造の部屋もあればそうじゃない部屋もある。
統一感のない屋敷だ。
目の前に皿が置かれる。
綺麗に卵で閉じてあるオムライスだ。
k「うまそ…。」
「君はこういう物の方が好きかと思ってね。」
k「あ、ありがとうございます。」
静かに食事を摂る。
男は腕時計をチラチラと見て先に食事を済ませ席を立つ。
「では、私は仕事に向かう。好きに過ごすといい。但し、屋敷の裏の螺旋階段だけはダメだ。キッチン以外の物は触らないこと。埃の一つでも触ったらわかると思ってくれ。全部、何も触るな。いいね?」
「あ、はい….。」
昨日散策した時に入った部屋だ。あれは見てはいけないモノだったのか。
昨日はあの手紙のような物に触れたくらいで他には何も触っていない。
わからないといいが…。
仕事に行く男を見送る。
出口はそこだが内側、外側、両方から鍵をかけられるタイプだ。
鍵はどこかにスペアであるはずだ。
今日は腕が自由だからある程度のことはできる。
しかし何の仕事をしているのか気になる。
棚にある本から察するに医療関係ではなかろうか。
k「あれに手術されるのは嫌だな…。」
誰もいないとわかれば脱出ゲームみたいで面白さがあるがそんな呑気なことも考えていられないので死ぬかもしれないからと自身に鞭を入れて早足で屋敷内を調査する。
やはり鍵を隠すところは書斎の部屋だろうか。
机に目をやると、昨日あった書類や手紙が消えている。
引き出しを開けるが何も入ってない。
鍵のかかった引き出しが気になる。
k「へい!Siri!!」
反応は返ってこない。
ここにはないのだろう。
散々色々な部屋を見たが何も成果はなく、天井窓を見ると陽が落ちて薄暗くなってきた。夕方寄りの夜かな。と時間を推測する。
何件も着信が入っているだろうに。
全くどうしてくれるんだ。収益が止まってしまうではないかと少しイラつく。
視聴者だって動画を待っているのに。まぁ、2日空けたところでそちらは問題ないだろうが、メンバーは心配しているだろう。
出口の扉が開かれる。
男が帰ってきた。
「ふぅ。ただいま。良い子にしていたかい?」
k「え、あ、はい…。」
「腹は減っているかね?」
k「いや、全然…」
「そうか。あ、そういえば風呂に入れないとそろそろ。」
風呂があったのか。そういえば散策してる時は見つけられなかった。一体どこにあるのだろうか。
男の後ろをついて行くとベッドの置いてある寝室だった。
意外にもベッドのすぐそばに扉があり、そこが浴室になっていた。ちょっとこの構造いいなと思い、風呂に入る。
「上がったら声をかけてくれ。」
湯船に浸かる。
昨日切られた傷が少ししみる。ほとんど塞がっているが。
シャンプー等見てみるがどれも高そうなものだった。
遠慮なく使わせてもらう。
k「上がりますよー」
「身体は拭かずにおいで」
この人は濡れた俺が好きなのだろうか。
不快感と水を纏いながら男の目の前に立つ。
男は満足そうに笑う。
「いいね。やっぱり似合うよ。今日は赤にしよう。」
濡れたままの顔にリップを塗られ、目元はさすがに拭わないと書けないのか赤いアイラインを引かれる。
「うん。綺麗だ。髪色からしてやはり君には赤が似合う。」
今日は何をされるのだろう。
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