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1.平凡な世界⑵にしおりをはさみました!
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1.平凡な世界⑵
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キーンコーンカーンコーン
何かの音楽にハッと飛び起き、時すでに遅しとはこの事だ。
やってしまった。
時刻を見ると15時25分。たった今、最後の授業の終わりを示すチャイムが鳴り響き、その音で現実の世界に戻って来たのだ。
ちょっと寝るだけのはずがだいぶ深い眠りに入ってしまい、真上にあった太陽も心なしか沈んでいた。
急いで荷物をまとめ教室へ急ぎ足で向かった。
ひょこっと、見つからないように教室のドアから部屋を覗く。
よかった、先生はいないようだ。
後ろのドアから入れば気付かれないかもしれない。
確か、担任の先生の名前は市村(イチムラ)せんせい……
「一ノ瀬、お前どこ行ってたんだ」
ポンッと頭に柔らかい感触。
後ろを向くと今話していた担任の市村先生の姿が。
ちょび髭を生やした30代半ばくらいのその男は、ほら、と言って丸まったプリント用紙を差し出して来た。
「これ、明日の朝配るから人数分コピーしてホチキスで纏めておいて。これで午後の授業サボったのチャラにしてやる」
なんて担任らしくない言葉を面倒くさそうに言われた。
差し出された反動でプリントも受け取ってしまった。
…ハァ。なんてついてないんだ。
「そのカメラ…」
市村先生はなんで持っているんだとでも言いたげな顔でカメラを指差した。
そんなに驚くことか?と思ったが、確かに学校に必要ないものだし没収されちゃうかもと瞬時に思い何となく言い訳じみた言葉が出る。
「いや、これはカメラですけど、決して変なものとか撮ったりしていません」
「…そうか」
特に没収したりする訳でもなく、カメラをジッと見つめるだけでその会話は終わった。
「これ国語準備室の鍵。ここにコピー機とかあるから」
なんて鍵を渡された。
…国語準備室ってどこだっけ?
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