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ユキにしおりをはさみました!
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ユキ
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真剣に悩む姿を見つめつつ、千歳はふとテーブルの外に意識を移した。
何気ない情景の中に、男女の姿が目に飛び込んできた。
女性より随分と小柄な男性は、テーブルに額を擦りつけんばかりに低頭している。
異様とまではいかないが、あまり見ない光景に千歳の視線は釘付けになる。
「ぱぁぱ……?」
千歳の視線の先を追い、ユキは振り絞るように声を出した。
──パパ?
千歳の席からは男性の後ろ姿しか見えない。
対面している女性はショートカットの黒髪で、以前レグルシュと一緒に見かけたエレナという名前の女性とは外見が全く異なる。
テーブルの上で何かやり取りをしているようだが、ここからは詳細を窺えない。
女性が席を立ち、店の外へ出たところで、ユキは性急に駆けていった。
「パパ……パパ!」
「え……瑚雪[コユキ]? どうしてここに」
千歳もユキの後を追いかける。パパと呼ばれた男は、千歳と同じほどの体格をしている。
髪色も目の色も純日本人のもので、ユキの父親だと言われれば戸惑ってしまう。
「パパ、ユキのこと嫌いになっちゃったの!? ママもね……ママも、全然来てくれないの。ユキ、やだよう……ママとパパのお家に帰りたい」
ママという単語に表情を痛めたのを、千歳は見逃さなかった。
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