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20日目、鈍感な君に。にしおりをはさみました!
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20日目、鈍感な君に。
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「魁輝、買った?」
「おう、大漁たいりょ……って何それ!?」
「射的!!!」
大漁です。
あのあと200円で5発分をしっかり全うした遼哉。そう、つまりはすべて的中させ落としたのだ。一番最初は簡単に取れそうなシガレット、次にぬいぐるみ、調子に乗り始めてゲームに手を出しついにはモデルガンとフィギアを落とした。なんとも店泣かせな初心者遼哉は200円でそれだけ取れたのにほくほくし、そして調子に乗りもう一回!と繰り返し、そしてまた見事パーフェクトでとってみせたのだ。取ったものは魁輝の好きそうなアニメグッズ、欲しいと言っていた気がするゲームなどなどなど。とりあえずほぼすべて魁輝にあげるつもりで取ったものがほとんどを占めている。気分はさながら魁輝の彼氏である。
「うっわぁ、俺射的は無理だからフィギアとかゲームはオークションとか通販で買ってたんだけど、すごいな遼哉!もうこれから俺祭り来た時は遼哉にたのもうかなーとか言ってー!」
あははと笑う魁輝。
それは暗に毎年俺と一緒に祭りに来たいと?来年も一緒に行こうね遼哉?みたいなあれか?あれなのか?
去年まで玲華のポジションだったそこはすっかり魁輝に変わりもう脳内お花畑満開花吹雪だ。
とりあえず自分のもの(といっても魁輝とお揃いにするためにとったブレスレット)を抜き取って、そのあとはおっちゃんにもらったスーパー袋に入れて帰り際に魁輝に渡すために自分で持つ。魁輝は自分で持つと言ってくれたが(そんなところもかわいい)そこはやっぱり惚れる者の身としては持ってあげたいので譲らなかった。
もう今の時点でほっくほくとなり今にも大量の花が飛んできそうなイケメンスマイルを撒き散らす遼哉はそのイケメンスマイルのまま魁輝を振り返り、「じゃあ次どこ行くか!なんか食う?」と人ごみを避けながら聞く。
やっぱりだんだん人は増えていくもので、歩行者天国となった道路だけでなく脇道や屋台の並んでいる商店街のほうも人で溢れかえっている。脇道や近くの駐車場などでは不良のような奴らがたむろして焼きそばやらを食っていたり小さい子供をつれた家族などが楽しそうに遊んでいたりした。
「んー、まずは定番のかき氷食いたい!」
「じゃあシロップかけ放題のとこ行こうぜ。俺いつもそこ行ってるから顔見知りだし」
「まじか!じゃあそこ行く!」
俺らが最初に待ち合わせしたところに近いので、またそこからこの人ごみの中逆戻りしなくてはいけないわけだけどそんなの地元の人達は慣れっこなのですいすいとまた間をぬって戻る。魁輝になるべく人がぶつからないように配慮して行くと、自分の名前が耳に飛び込んできた。
「ん?あっれれ?遼哉じゃね?遼哉ー!」
「何叫んでんだよお前、恥ずかしいだろ。つかどこにいんだよ」
「え?あそこだよあそこ、ほら、なんかでけぇ袋提げてる奴」
少し離れたところで知った声に聞きなれた声がした気がした。人ごみの中ふとその声を探すと、それは案外早く見つかった。
「ほらぁやっぱり遼哉だって!!遼哉ー!」
「お前よくわかったなすげぇな」
「さすがだろ!もっと褒めてくれて構わない!」
その声は近くの路地の手前に構えられたイカ焼きの屋台にいた。アンパンマンの面を首にかけたやつとプリキュアの面を頭の左側につけたその二人組はすでに手に大量の食べ物を持っていた。
その二人というのは一人は俺の部活仲間、つまりはサッカー部のエースで、もう一人はバスケ部のエースといったダブルエースの二人で一緒に帰ったりしていたこともあった帆鷹と長吉である。ちなみに、この前この二人に祭りに一緒に行かないかと聞かれ断った奴らでもあった。
「誰?サッカー部?……ホモ!?!?」
「違うからちょっと黙れ」
まぁこういうことで魁輝が反応を示さないわけもないと思ってはいたが流石に訂正する。その際少しシュンとしたの魁輝が可愛かった。
でももし二人も魁輝に惚れたりしたらどうしよう……(ない)
俺だって急に好きになっちゃったしあり得る……(あり得ない)
「お前誰?」
「え!?ええええと、あの」
「あ、お前笠井たちとよく一緒にいるやつだろ。かいちゃんだっけ?俺長吉駿」
「俺は帆鷹柊」
ってもう自己紹介始まってる早い!!!しかもかいちゃんとか……俺が悶々としている間にこいつ……。
「うっわぁ遼哉顔怖い」
「おこ?おこ?おこなの?」
「うるせぇ!魁輝行くぞ」
「えっ!?」
「あっ、かいちゃーん!LINEしてね!」
「お前なんで……あぁもう色々腹立つアイツ明日殴る」
「え!?」
鈍感な君に。
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