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くまがいっぴきにしおりをはさみました!
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くまがいっぴき
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通い慣れたのどかな原風景の中に、足音と一緒に、不満げな声が響きわたる。
「みずき~~」
声の主は、俺の腕に抱きついて駄々っ子のように口を尖らせるこの少年。
幼なじみの熊谷 桧。下の名前をよくヒノキと間違えられるが、正しい読みはヒノらしい。どこへ行っても田んぼと山の見えるこの田舎で、俺よりもずっと山に近い場所に住んでいる。
「だぁから何度も言ってんじゃん、俺は怖いから嫌なの」
「大丈夫だってば、俺が一緒にいたら瑞は大丈夫だから~」
「その自信はどこからくんだよ…ともかく、山はごめんだ」
なんでもめてるかというと、桧が先日、珍しい山菜や花が採れるようになったから、一緒に行かないかと持ちかけたのだ。
別に行っても構わないんだが、俺が行きたくない理由は山にある。
「ヘビが出たら追い払ってあげるからさ、行こうよ瑞ぃ…」
「…蛇や虫ならまだいいよ、あそこは熊も出るだろ」
瑞の住んでいる山の麓には、週1くらいで熊が出没する。それが山の中なら、いつ遭遇したっておかしくない。
「大丈夫だよ?俺襲われたことないもん」
「お前はな…」
桧はおっちょこちょいの割に妙に運がよくて、たぶん子持ちの熊に出くわしてもなんとかなるだろう。でも俺みたいなのは間違いなく餌食。
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